不動産業界で活躍できる資格9選!難易度や仕事内容、取得方法は?

不動産に関する資格というと、どんなものを思い浮かべますか?宅地建物取引士が真っ先に浮かぶかもしれませんが、それ以外にも不動産業界で活躍できる資格はたくさんあります。

今回ご紹介する資格は国家資格中心ですので難易度はやや高めですが、その分、取得すれば仕事の幅が広がり収入アップも期待できます。

仕事の内容や取得方法について解説していますので、どの資格にチャレンジすればいいか迷っている方はぜひ資格選びの参考にしてください。

不動産業界で役立つおすすめの資格9選

今回ご紹介する資格について、概要を一覧表でまとめました。資格の内容については次章から詳しくご紹介していきます。

資格難易度種類合格率受験資格
宅地建物取引士★★国家資格15〜18%なし
不動産鑑定士★★★国家資格短答式:30%前後、論文式:14〜15%なし
マンション管理士★★★国家資格7〜9%なし
管理業務主任者★★国家資格22〜24%なし
土地家屋調査士★★★国家資格8〜10%なし
司法書士★★★国家資格4〜5%なし
ファイナンシャルプランナー(FP技能士)★★国家資格40%前後・3級:FP業務に従事している者または従事しようとしている者
・2級:3級合格者
・1級:2級合格者かつFP業務の実務1年以上
賃貸不動産経営管理士★★民間資格30%前後なし
不動産コンサルティング技能試験★★民間資格40〜50%宅建、不動産鑑定士、一級建築士のいずれかの資格登録をしていること

1.宅地建物取引士(宅建)は必須!

宅地建物取引士は不動産業を営むにあたり、従業員5人に1人必ず設置しなくてはならないため、不動産業界では必須の資格といえるでしょう。

資格がなくても就職はできますが、資格手当がつく会社も多いので、ぜひ取得して欲しい資格です。

宅建士になるとできること

不動産の仕事では、宅建士でないとできない独占業務があります。

  • 重要事項説明書の説明
  • 重要事項説明書への記名・捺印
  • 契約書への記名・捺印

これらの業務は、宅建士の資格を持っている人しかできないと法令で決められているため、不動産会社には宅建士の設置が必須となっているのです。

資格取得の方法

宅建士は毎年25万人もの人が受験する人気の資格です。合格率は15〜18%と、国家資格の中では比較的高い方です。

宅建士の試験は年に1回ですが、試験に合格するだけでは仕事ができません。受験をした都道府県に登録して宅地建物取引士証の交付を受けて初めて仕事ができるようになります。登録するには、2年以上の実務経験か、登録実務講習を受講します。

▼宅建士の資格についてはこちらも参考にしてください!

2.不動産鑑定士は鑑定とコンサルティング

不動産鑑定士は、土地鑑定のプロです。不動産の価値を適切に判断し価格をつけるのが仕事です。また、土地の利用法に関してもコンサルティングを行うことができるので、不動産会社以外の業種でも活躍できます。

不動産鑑定士になるとできること

不動産の価値はその時の経済状況に左右されやすく、時代によって変化しますので、その時々の状況に応じた適正価格を判定するのが不動産鑑定士の仕事です。

また、鑑定した土地の評価に基づいてどのように活用することが良いのか、コンサルティングも行います。

資格取得の方法

不動産鑑定士の試験は、短答式(1次試験)と論文式(2次試験)があります。1次は例年5月、2次は8月に行われます。2次試験で不合格となった場合でも、1次試験の合格発表から2年以内であれば短答式は免除となります。

試験に合格すると実務修習がありますが、この修習がとても長いです。1年コースと2年コースがあり、講義を聞くだけでなく実地演習なども行い、修了考査を経て晴れて不動産鑑定士となれるのです。

3.マンション管理士はマンション運営のサポート

マンション管理士はマンションの管理組合をサポートし、マンションの維持管理を担う国家資格です。管理組合の相談にのり、必要な助言等を行う仕事であり、マンションの管理人とは違います。

マンション管理士になるとできること

マンション管理士は住民の側に立って、マンションの運営をサポートします。具体的には、このような業務を行います。

  • 管理組合の相談への回答・助言
  • 管理組合の運営改善
  • 管理規約の見直し、改正案の作成
  • 修繕積立金の管理
  • 修繕工事の計画・立案
  • 住民トラブルの解決

など。

資格取得の方法

マンション管理士になるには、11月に行われる「マンション管理士試験」に合格し、公益財団法人マンション管理センターに登録することで仕事ができるようになります。実務経験など登録の要件はありません。

宅建士などとは違い、マンション管理士だけしかできない独占業務はないので、試験に合格しなくてもマンション管理士の業務自体を行うことは可能です。

ただし、登録した人でないとマンション管理士を名乗ることはできません。せっかくの知識、スキルを活かすなら、試験に合格して登録した方が仕事の幅が広がるでしょう。

4.管理業務主任者はマンション管理会社で活躍

管理業務主任者はマンション管理会社に勤める人が取る資格で、2001年にできた比較的新しい国家資格です。マンション管理士とは違い、独占業務があります。

マンション管理会社は、30組合ごとに1名以上の管理業務主任者を設置することが義務付けられていますので、今後も需要がなくなることはないでしょう。

管理業務主任者になるとできること

マンション管理士の独占業務は、次の4つです。これらの業務は管理業務主任者にならないとできません。

  • 管理受託契約に関する重要事項の説明
  • 管理受託契約に関する重要事項説明書に記名・押印
  • 管理受託契約書に記名・押印すること
  • 管理組合に対して行う管理事務に関する報告

資格取得の方法

合格率が20%を超えますので、国家資格の中でも比較的チャレンジしやすい資格です。試験に合格してマンション管理業協会に登録をすると仕事ができるようになります。

登録にはマンション管理業務に関する2年以上の実務経験があるか、ない人は登録実務講習を受けることが必要です。

5.土地家屋調査士は測量のプロ

土地家屋調査士は、登記に必要な土地の測量などを行うのが仕事です。試験科目の中には、一級建築士または二級建築士に合格していると免除されるものもあります。

土地家屋調査士になるとできること

土地家屋調査士は土地や建物を調査して測量するのが仕事です。

  • 不動産の所在地
  • 広さ、形
  • 用途、所有者

などを登記簿に記載する手続きである「表示に関する登記」の申請まで行います。この業務は、土地家屋調査士の独占業務です。

また、土地の境界線を示す「境界票」を地面に打ち込むのも業務の一つです。

資格取得の方法

土地家屋調査士になるには、例年7月に行われる試験に合格後、各都道府県の土地家屋調査士会に登録することが必要です。試験は筆記試験と口述試験があり、合格率は8%〜10%を推移している難しい試験です。

6.司法書士は登記の専門家

司法書士は、不動産の専門家というよりは法律・登記の専門家です。不動産契約の時には必ずといって必要になる人材ですし、業務の幅も広く独立開業も可能です。

司法書士になるとできること

  • 登記に関する手続き
  • 法務局に提出する書類の作成
  • 登記に関する審査請求の手続き代理
  • 裁判所または検察庁に提出する書類の作成
  • 筆界特定の手続きに関する書類の作成
  • 作成された書類の法務局等への提出代行

などは、司法書士の独占業務です。

登記は不動産登記だけでなく、会社を設立する時の商業登記も行えます。

また、認定司法書士になると訴訟の請求額が140万円以下の少額訴訟についても法律相談や過払金の請求などが行えます。

資格取得の方法

司法書士になるには、試験に合格して司法書士会に入会して名簿に登録してもらうことが必要です。試験は筆記試験と口述試験があり、合格率は5%前後とかなり難しい試験です。

7.ファイナンシャルプランナー(FP技能士)は家計診断のプロ

ファイナンシャルプランナーはお金の専門家で、健全な家計のアドバイスなどを行います。いくつか資格があるのですが、ここでは国が検定を行なっている「FP技能士」について説明します。

お客様に住宅ローンや相続のアドバイスができるようになるので、不動産業界でも活躍できる資格です。

FP技能士になるとできること

FP技能士の強みは、住宅ローンだけでなく、税金全般、資産運用などについての知識も持っているので、不動産を購入するときだけでなく、その後もお客様と信頼関係を築いていけるという点でしょう。

ライフプランの相談にのり、適切な住宅ローンの組み方や火災保険、損害保険などのアドバイスも行えます。

資格取得の方法

資格は1級から3級まであり、3級からスタートします。学科試験と実技試験がありますが、合格率は40%前後と高めですから、しっかり準備をすれば合格は難しくないでしょう。

8.賃貸不動産経営管理士は新しい国家資格

賃貸不動産経営管理士は、賃貸住宅管理の専門家です。2021年に「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が施行され、同年6月には賃貸不動産経営管理士が国家資格となりました。

賃貸住宅に関する業務を行うためには事務所ごとに「業務管理者」を設置することが義務付けられましたが、賃貸不動産経営管理士はその業務者の要件のひとつとなっています。

賃貸不動産経営管理士になるとできること

その名の通り、賃貸物件の管理に関することが主な業務です。

  • 入居者募集に関する提案
  • 入居者同士のトラブル解決
  • クレーム対応
  • 建物の不具合の対応
  • 退去の立ち会い
  • 原状回復工事に関すること

など、賃貸住宅の経営をサポートするのが仕事です。

資格取得の方法

賃貸不動産経営管理士になるには、年に1度の試験に合格し、登録をすることで仕事ができるようになります。登録の条件は、

  • 宅地建物取引士であること
  • 賃貸不動産の関連業務に2年以上従事しているか、従事していた者

のいずれかが必要となっています。

実務経験が必要となっていますので、試験勉強と仕事を並行していくことが資格取得への近道となるでしょう。

9.不動産コンサルティング技能試験はコンサルのプロ

不動産コンサルティング技能試験に合格すると、「公認 不動産コンサルティングマスター」になれます。不動産に関するコンサルティングの専門家として活躍できます。

不動産コンサルティングマスターになるとできること

不動産売買や土地活用に関するアドバイスなど不動産の専門家としてコンサルティングを行うのが主な業務です。不動産投資や相続に関する相談に乗ることもあります。

民間資格ですので独占業務はありませんが、幅広い知識が必要とされる資格であり、独立開業も可能です。

資格取得の方法

公益財団法人「不動産流通推進センター」が行う試験に合格し、登録することで業務を行うことができます。

ただし、誰でも受験できるわけではなく、以下の資格取得者のみとなっていますので注意してください。

  • 宅地建物取引士
  • 一級建築士
  • 不動産鑑定士

まとめ:不動産業界で活躍できる資格にチャレンジ!

不動産業界で役に立つ資格を厳選してご紹介してきました。

宅地建物取引士のように、不動産会社で仕事をするなら必ず取得しておいたほうが良い資格もありますし、FP技能士や不動産コンサルティング技能試験のようにあったら便利という資格もあります。

これから不動産業界の中でどのように活躍していきたいかによって適した資格は違いますので、今後の方向性を見極めて、役立つ資格にチャレンジしてください。