宅地建物取引士(宅建士)とは?仕事内容や資格取得のメリット

宅地建物取引士とは、不動産取引のスペシャリストであり、宅地建物取引業法に定められた国家資格です。日本で一番人気があるともいわれる資格で、毎年20万人以上の人が受験をしています。

不動産に関する資格なので不動産業界でしか使えないと思っている人もいますが、それは違います。金融業、建設業など幅広い業種で役に立つ資格ですし、学生や主婦の合格者が多いのも特徴の一つです。

宅地建物取引士はどのような業務を担えるのか、試験は難しいのか、資格取得のメリットなどについて詳しくお話しします。不動産業界に興味をお持ちの方はもちろんのこと、本当に使える資格を取得したいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

宅建士とは?不動産取引の専門家

宅建士は、正式名称を「宅地建物取引士」といいます。不動産取引の専門家で、宅地建物取引業法に定められた国家資格です。かつては「宅地建物取引主任者」と呼ばれていましたが、2015年4月に現在の名称に変更されました。

家や土地を買うというのは、多くの人にとって未経験のことであり、複雑な法律の仕組みなど理解できないことも多いものです。よく分からずに契約してしまい、不利益を被ることのないようにサポートするのが宅建士の仕事です。

契約行為に必須の資格

不動産会社に就職する、営業職として仕事をする上で宅建士は必須の資格ではありません。宅建士の資格がなくても、不動産会社で働くことはできます。

ただし、物件を契約する段階に来ると、宅建士の資格を持った人しか担当できない仕事があるのです。そのため、不動産関連の仕事をしたいなら、就職する前に資格を取得しておく方が有利です。

不動産取引の会社に必須の資格

宅建業を行う会社は、その事務所ごとに5名の従業員に対して1名の宅建士の設置が義務付けられています。5名ごとなので、6名の宅建業従事者がいる事務所なら、2名の宅建士が必要ということです。

もしも退職等で宅建士が不足してしまうと、2週間以内に補充しなくてはならないことになっています。もしくは、その人数で要件を満たすよう、宅建業従事者を減らすという方法もありますが、いずれにしても法定人数を確保しなくてはなりません。

宅建士が足りない状態で営業を続けると業務停止処分などのペナルティを受ける可能性もあるため、宅建士は不動産会社にとっても必須の資格なのです。

宅建士にしかできない3つの業務

不動産会社にとって宅建士が必要不可欠なのは、宅建士にしかできない業務があるからです。以下の3つの業務が、宅建士だけができる独占業務です。

1.重要事項の説明

家や土地は高額な買い物です。購入後のトラブルを防ぐためにも、宅建士は契約前に物件に関する重要事項を説明することになっています。重要な事項とは、一例ですが、以下のような項目です。

  • 不動産の権利関係
  • 不動産の状態(形状、構造など)
  • 制限の内容
  • 水道、電気、ガスの整備状況
  • 耐震診断の内容
  • 代金及び交換差金以外に授受される金額
  • 契約の解除に関すること

専門用語が多く、一般の人が読んでも理解しづらい文書であるため、間違いのないように法令の専門家である宅建士が内容を説明します。

2.重要事項説明書への記名押印

重要事項を説明する時には、重要事項を記載した「重要事項説明書」を書面で提示して説明を行う必要があります。内容に誤りがないことを確認し、宅建士が記名押印した上で、説明をするのです。

3.契約内容書面への記名押印

重要事項を説明し、納得してもらったらいよいよ契約です。契約書の書面に誤りがないことを宅建士が確認し、記名押印をします。

宅建士の資格を取る5つのメリット

不動産業界で働くために宅建士の資格は必須ではありません。しかし、取得しておいた方がメリットが大きいです。

1.需要の高い資格

最初に説明した通り、宅建業を行う事業所では5名につき1名の宅建士を配置しなくてはなりません。これは法律で義務付けられていることですので、「足りない」では済まされないのです。

特に中小の不動産会社では転職する人も多く、常に宅建士を必要としている状況です。そのため、会社として宅建士の資格取得を推奨していることも少なくありません。とても需要の高い資格なのです。

2.収入アップの可能性がある

宅建士の資格を取得することで、資格手当がつく場合があります。もちろん会社によって違いますが、1万円〜3万円程度が相場だといわれています。

今、直接宅建業に関わっていなかったとしても、不動産業界で仕事をしていくならとっておいて損はありません。

3.転職にも有利

宅建士は不動産関連以外の業界でも需要のある資格です。

建築業

建築会社では、自社で施工した物件の販売まで手がけている会社があります。自社で建てた物件を売るなら宅建士が必要です。

不動産管理会社

不動産売買から管理まで一貫して行う会社があります。分譲の仲介時に宅建の資格が必要になります。また、マンション管理を行う際に必要な「管理業務主任者」の国家資格は、宅建士と試験科目が重なっている部分も多く、同時に受験しやすいというメリットもあります。

金融業

金融と不動産業、一見関係ないように見えますが、担保として不動産を評価することも多く、宅建士の知識が役に立ちます。また、都市銀行はグループ傘下に不動産会社を持っていることも多く、仕事の幅も広がるでしょう。

4.自身の不動産取引の時にも役立つ

不動産業界を離れたとしても、自分が家や土地を購入する時に宅建士の知識が役に立ちます。法的な知識を持っているため、不動産会社の言いなりになる心配がありません。良い物件探しにも役立つでしょう。

宅建士の資格を取る方法

宅建士になるには、試験を受けて合格し、都道府県知事へ登録することが必要です。試験に合格しただけでは資格を生かすことができないので注意しましょう。

宅建士の試験は年1回

宅建士の資格試験は、一般財団法人・不動産適正取引推進機構が行っています。試験は年1回、毎年10月の第3日曜日に行われています。全国の会場で一斉に行われますので、近くの会場を選ぶことができます。

試験のスケジュールですが、おおよそこのように進みます。

  • 7月ごろ:申込受付開始
  • 9月下旬:受験票送付
  • 10月第3日曜日:試験
  • 12月:合格発表

年齢や学歴は不問で、誰でも受験が可能です。ただし、誰でも受けられる試験だからといって決して簡単なわけではありません。合格率は15%〜18%とかなり狭き門となっています。

とりあえず受けてみようという軽い気持ちで合格することは難しく、国家資格の中では合格率は高めとはいえ、適当な勉強は合格できないでしょう。独学で合格する人もいますが、効率的に学び最短で合格するならスクール等を利用した方が早いです。

実務経験と登録が必要

宅建士は、試験に合格しただけでは宅建士の仕事ができません。試験を受けた地域の都道府県知事に登録手続きをしてから「宅地建物取引士証」の交付を受ける必要があります。資格自体は一生ものですが、資格証は5年ごとの更新が必要です。

資格の更新の際は法定講習があり、その講習費として12,000円かかります。また、取引証の交付申請手数料として4,500円かかるため、更新時には16,500円かかることになります。

なお、登録申請をするためには2年以上の実務経験が必要です。実務経験のない人は、登録要件を満たすために「宅建登録実務講習」を受ける必要があります。専門学校等で実施されており、講習費は2万円前後です。

まとめ:宅建士とは不動産取引の専門家

宅建士とは宅地建物取引士の略で、不動産取引のスペシャリストです。宅建士でないとできない業務もありますし、1事業所5名の従業員に対して1名の宅建士を置かなくてはならないと決められています。

ですから、不動産会社にとってはなくてはならない存在で、今後も需要がなくなることはないでしょう。重要事項の説明、重要事項説明書の記名押印、契約書の記名押印は、宅建士の独占業務です。

不動産業界以外でも、建築業や金融業など他の業界でも活躍できる資格であり、5年ごとの免許の更新手続きは必要ですが、一度取得すれば一生使える資格です。

ただし、試験の合格率はそれほど高くないため、しっかりと勉強をして試験に臨む必要があります。試験に合格したら、宅建士としての登録をし「宅地建物取引士証」を交付してもらうことで仕事ができるようになります。