宅建の5点免除はほんとに有利?試験の攻略法を徹底解説

宅地建物取引士の試験には「5点免除」と呼ばれる制度があります。この制度を利用すれば、一般の人よりも有利な条件で受験できるため、合格率が上がる可能性があります。とはいえ、誰でも利用できる制度ではないので、まずは自分が該当するのかを確認する必要があります。

今回は、5点免除とはどのような制度か、利用するメリットや条件、申し込み方法などについて詳しく解説します。

不動産仲介の仕事についていて、今年こそ宅建の試験に合格したい!と思っている人は、5点免除を利用して確実に合格を手にしましょう。

宅建の5点免除とは

宅建の5点免除とは、すでに宅建業に就いている人が宅建士の資格を受ける時に試験の一部を免除してもらえる制度です。宅建士の試験は全部で50問ありますが、そのうちの5問が免除され、満点も50点から45点になります。

合格ラインは毎年変わり、7割程度の34〜38点ですので、ここから5点マイナスした点が免除者の合格点になります。

また、試験時間は通常120分ですが、5点免除の人は試験時間も短縮されます。

  • 一般の人:45点満点、120分
  • 5点免除の人:50点満点、110分

宅建士の試験は、

  1. 宅建業法
  2. 権利関係
  3. 法令上の制限
  4. 税・その他

と、4つの分野から出題されますが、「税・その他」の「その他」の部分が免除になります。

「その他」の部分は土地の構造や建物の基本的な知識などで、法令に関する問題ではありません。後の登録講習の時に学ぶことから、試験の時には免除されるのです。

宅建の5点免除を利用するための2つの条件

宅建の5点免除は誰でも利用できるものではありません。条件が2つあります。

ひとつは、登録講習修了試験に合格していることです。この登録講習とは、すでに宅建業に従事しており、「従業者証明書」を持っている人が受けられる講習です。正社員である必要はなく、派遣社員やアルバイト、パートの人でも受講は可能です。

講習の最後に試験がありますので、この試験に合格していることが必要です。

もうひとつは、その登録講習が修了してから3年以内であることです。せっかく講習を受けて合格しても、3年を超えてしまうと5点免除を利用できなくなるので注意してください。

宅建の5点免除を受けるメリット

5点免除を受ける大きなメリットは、合格ラインが下がることです。宅建士の試験問題は50問しかなく、そのうちの5問分が正解扱いになっているのですから、大きなアドバンテージであるといえるでしょう。

通常であれば34〜38点は取らなくてはならないところ、5点少なくても良いと考えられることは、心理的にも余裕をもたらしてくれるはずです。

宅建の5点免除を受けるデメリット

デメリットがあるとすれば、のちほど詳しく説明する登録講習を受けて修了試験に合格しなくてはならないということでしょう。

講習は通信で受けられますが、勉強する期間として1〜2ヶ月必要です。スクーリングもあり、参加しなければ修了試験を受けられません。

忙しい中で、それだけの時間を確保することは簡単ではありません。また、受講に際しては2万円ほどの費用もかかります。これも負担に感じる人がいるでしょう。

ただ、時間を捻出することさえできれば、5点免除になるメリットは大きいです。デメリットを上回るメリットとなるはずです。

5点免除を受けた場合の合格率

5点免除を受けると合格ラインが下がりますから、合格率は上がるように思えます。実際にはどうなのか、免除なしの人と比較してみます。

過去10年の合格率を見てみますと、合格率は15%〜17%ほどで推移していますが、これは一般の人と5点免除の人を合わせたものです。個別にみてみると、5点免除を受けた人の方が高くなっています。

実施年度全体の合格率5点免除の合格率一般の人の合格率
2019年(令和元年度)17.0%22.9%15.2%
2020年(令和2年度)16.8%19.4%16.0%
2021年(令和3年度)17.7%21.3%16.7%
2022年(令和4年度)17.0%17.3%17.0%

直近の2022年試験ではあまり差が出ませんでしたが、過去の合格率を見ると、5点免除を利用した方が遥かに有利だということがわかります。利用できるならした方が良いでしょう。

登録講習修了試験の手続きと内容

5点免除を受けるための登録講習は、通信講座とスクーリングによって受けることになっています。また、国土交通省の登録を受けた機関でないと受講することができません。受講機関の名称は、国土交通省の公式サイトで確認することができます。

受講の申し込みをする

まず、受講したい機関を決めたら、直にその機関に申し込みをします。受講できる内容はどこでもほぼ同じですが、日程や費用などは機関ごとに違っていますので、よく確認しましょう。費用はおよそ2万円です。

受講とスクーリング

申し込むと教材が届きますので、カリキュラムに従って受講を進めます。最後にスクーリングを受けると講習が完了します。受講期間は2ヶ月程度のところが多いです。スクーリングについては10時間分を1日で受けられるところと、2日に分けて受けるところがありますので、それも良く確認して受講機関を選びましょう。

なお、スクーリングは10時間しっかり受けないと、受講したことになりません。途中退席や欠席をしてしまうと試験を受けられないので注意してください。

試験の内容

スクーリングの最後に修了試験が行われます。

講習で学ぶ内容は、

  • 宅建業法、関連法令
  • 宅地及び建物の取引に係る紛争の防止に関する科目
  • 宅地及び建物の取引に係る税務に関する科目

など多岐にわたっており、講習とスクーリングで学んだことから出題されますので、しっかりと勉強していれば、合格できるでしょう。

登録講習修了者証明書の交付

試験に合格すると、登録講習修了者証明書が交付されます。試験は9割以上の人が合格するといわれていますが、万が一不合格だった場合は再度講習を受け直さなくてはなりません。費用や時間を無駄にしないためにも、1回で合格したいところです。

宅建の5点免除を申請する方法

5点免除は自動的に適用されるわけではないので、試験の申し込みをする際に申請が必要です。

登録講習修了者証明書を願書に添付して申し込みます。インターネットから願書を提出する際は、登録講習を修了しているというデータが宅建士の試験を実施している不動産適正取引推進機構に届いていることが条件です。

宅建の5点免除は早めに申し込む!

宅建士の試験は毎年7月1日〜7月31日が申し込み受付機関ですから、この時点で登録講習修了者証明書を持っていなくては申請ができません。

講習修了のデータが不動産適正取引推進機構に届くまでに少し時間がかかりますので、インターネットで願書を提出する場合、なるべく早く講習を終えているようにしましょう。

まとめ:宅建の5点免除を利用した方が試験は有利

宅建の5点免除とは、宅建業にすでに従事していて、登録講習修了者証明書および従業者証明書を持っている人が利用できる制度です。

登録講習を受け修了試験に合格すると証明書が交付されますので、宅建士の試験の願書を提出する時に、証明書を添付します。

合格ラインが5点下がることから、合格率も一般の人より高くなっています。講習と試験を受ける時間が必要ですし、費用もかかりますが、合格率が上がるなら利用しない手はないでしょう。

宅建士の試験は毎年7月が申し込みの時期となっています。5点免除を利用するなら申し込みの前に登録講習修了者証明書を手にしておく必要がありますので、なるべく早めに講習を受け、従業者証明書ももらっておきましょう。