集合住宅とは?紛らわしい物件の呼び名の由来や違い

集合住宅、共同住宅、マンション、アパートなど、物件には呼び名がいくつもあります。不動産業界ではよく使われる言葉ですが、どれがどんな建物か、お客様にわかりやすく説明ができるでしょうか?

なんとなくイメージはできるけれど、その違いはよくわかっていないという人へ、さまざまな集合住宅の種類を解説します。

「集合住宅とはこういうものです」とスマートに説明できると、賃貸物件を扱うプロとして話に説得力を持たせることができるでしょう。

これを機に、不動産用語を詳しく知りたいという人は、ぜひ参考にしてください。

集合住宅とは単なる呼び名

集合住宅というと、何か法律用語のようにも感じますが、これは単なる通称であり、一戸建てと区別するための呼び名に過ぎません。建築基準法など法令で使われている言葉ではないのです。

便宜的に、アパートやマンションなどの総称として使われている用語です。

集合住宅の定義ですが、

  • 1棟の建物を壁などで区切り、2戸以上の区画にしていること
  • それぞれが独立していること
  • 各住戸部分以外に共用部分(エントランス、廊下、ベランダなど)があること

などの条件があることとされています。

共同住宅・長屋は建築用語

1人または1家族ではなく、複数の人が利用するマンションやアパートなどの集合住宅は、法令上「共同住宅」または「長屋住宅」と呼ばれます。共同住宅と長屋住宅は別物ですが、「集合住宅」といった場合にはどちらを指しているのかはわかりません。

共同住宅とはエントランスが共用されているもの

マンションやアパートのように、占有部分と共有部分があり、

  • エントランス
  • 廊下
  • 階段
  • エレベーター
  • ベランダ

などは共用部分です。

エントランスは共有、その中に区切られた各住戸があるという形の建物です。各住戸内は占有部分であり、自由に使えます。

複数の人が使う建物なので、避難経路を確保したり自動火災警報器を設置したりと、消防法による基準が細かく定められています。

50人以上が入居しており、延べ床面積が500平方メートル以上になると、居住者の中から防火責任者を選ばなくてはなりません。

長屋住宅は玄関も別になっているもの

1棟の中に複数の住戸があるのは共同住宅と同じなのですが、エントランスが共有ではなく、玄関は各住戸の敷地内にあります。

つまり、エントランスを通ることなく各居室に入ることができます。共用の廊下や階段などもなく、避難経路は各自で確保します。

戸建ての家の壁がくっついて建っている、と説明するとイメージがわきやすいでしょうか。敷地は共有していますが、共有している部分がないので、戸建て感覚で暮らすことができます。タウンハウス、テラスハウスなどと呼ばれていることが多いです。

集合住宅の種類は多いがイメージで呼称が決まる

それでは、集合住宅の種類をもう少し詳しく見てみましょう。お客様に明確に説明できるようにしておくと、物件をご案内する時にきっと役に立つはずです。

どれも明確な定義はなく、大家さんや管理会社が自由に決めています。

アパートは木造が多い

アパートは木造で2階建てまでの建物が多いです。木造なので通気性が良く、湿気がこもりにくいのが特徴です。耐震基準を満たしていれば地震ですぐに倒壊することはありませんが、揺れは感じやすいです。

戸数も少なく建築費が抑えられることから、家賃も低めに抑えれらています。一人暮らしまたは子供のいない2人世帯におすすめすることが多いいでしょう。

マンションは鉄筋が多い

マンション(mansion)は「邸宅」「屋敷」という意味で、アパートと比較して大きな建物という意味で使われています。アパートとマンションを明確に区別する法律はなく、あくまでも「イメージ」で決められている呼び名です。

実際にマンションといえばアパートよりも豪華な造りで、鉄筋コンクリートまたは鉄骨鉄筋コンクリートの建物が多いことから、マンションと聞けばある程度しっかりした造りで豪華な建物をイメージするお客様が多いはずです。

マンションは耐火性・耐震性に優れており、防音性もアパートよりは高いでしょう。暮らしやすさや内装にこだわりたいお客様には、アパートよりもマンションの方がおすすめです。建築費がかかることから、家賃はアパートより高めです。

▼マンションとアパートの違いについてはこちらの記事も参考にしてください!

コーポは和製英語

コーポというとなんだかおしゃれな感じがしますが、実はこの言葉、和製英語でした。元々は「コーポラティブハウス(cooperative house)」という言葉で、「コーポラティブ」には「共同の」「組合の」という意味があります。共同の家、つまり集合住宅を指す言葉です。

そこから、「コーポ」という名称が生まれました。マンションに使われることはあまりなく、「コーポ○○」といったように、アパートの名称と使われることが多いです。「コーポ」と聞けば、お客様もアパートをイメージすることが多いと思います。

ハイツは高台という意味

ハイツ(heights)というのは、「高い丘」「高台」という意味の英語ですが、本当に高台にあるわけではありません。あくまでもイメージです。コーポとの明確な違いはなく、大家さんや管理会社のイメージで決められています。

プレハブ2階建てのアパートに使われることが多いですが、木造アパートに使われることもあります。ハイツというと、アパートよりも少しおしゃれなイメージを持つお客様が多いでしょう。

メゾンは「家」

メゾン(maison)はフランス語で「家」「建物」を意味する言葉です。日本ではおしゃれなイメージで使われていますが、フランス語で「メゾン・ド・○○」といえば「○○の家」という意味になります。

「家」を指す言葉は他にもあり、イタリア語では「カーサ」、ドイツ語なら「ハイム」となります。どちらも、アパートの名称としてよく使われます。

「レジデンス」「ヴィラ」なども見かけますが、どれも明確な定義のある言葉ではなく、イメージで決められているものです。

タウンハウスは長屋住宅

タウンハウスは、長屋住宅の一種です。まだあまりメジャーな呼び名ではないかもしれません。聞いたことがないというお客様も多いと思います。戸建てがくっついて建っているイメージだと説明すれば、わかりやすいでしょう。

集合住宅のひとつではありますが、マンションとは違い玄関がそれぞれの住戸で独立しています。建物はそれぞれの占有、敷地については共有しているので、管理組合を設置していることが多いです。

住んでいる感覚は戸建てに近く、管理形態はマンションに近いという物件です。

戸建てに住みたいけれど予算の関係で今は賃貸マンションを探している、というお客様にはタウンハウスがおすすめです。

テラスハウスも長屋の一つ

テラスハウスは、形態はほぼタウンハウスと同じです。2〜3階建てで玄関がそれぞれ独立していますので、他の住戸と共有部分はありません。

タウンハウスとの違いは土地の持ち方です。分譲の場合、タウンハウスは占有面積の割合に応じて土地を共有していますが、テラスハウスは登記を分けて、自分の建物と土地を100%保有しています。

賃貸物件の場合、所有権は関係ありませんので、タウンハウスもテラスハウスも、借りる側にとっては同じようなものです。

メゾネットは建物の内部が2階以上ある

メゾネットとは、居室内にうち会談があり、2階以上のフロアがある部屋のことをいいます。ロフトと似ていますが、ロフトは面積も小さく、窓も設置できません。どちらかというと納戸や屋根裏部屋的な使い方をするものです。

それに対してメゾネットは居住空間としてしっかり使える部分ですので、マンションでありながらも戸建てのような感覚で暮らすことができます。

特に、小さなお子さんがいる家庭では下階への足音などが気になると思いますが、メゾネットならその心配がありません。

まとめ:集合住宅とは共同住宅、長屋の総称

賃貸物件を案内する様子

集合住宅とは、建築基準法など法令に基づく言葉ではなく、マンションやアパートなどの総称として使われている言葉です。法令上は、「共同住宅」「長屋住宅」と呼ばれています。

共同住宅はマンションやアパートのように、エントランス、廊下、ベランダなどの共有部分があり、居室内が占有部分となっている建物のことをいいます。長屋住宅とは、タウンハウスのように、共有部分がなく、玄関も個別になっている建物のことをいいます。

ハイム、コーポ、メゾンなどさまざまな呼称がありますが、基本的にはどれも大家さんや管理会社が自由に決めています。

「メゾン」というからすごく豪華なマンションだと思った、と勘違いされないように、呼称の決め方について正確に説明し、実際に物件をその目で見てもらうことが大切です。