専任媒介契約とは?媒介の種類とメリット・デメリット、注意すること

不動産を売買する際には、売りたい人と不動産会社との間で媒介契約を結ばなくてはなりませんが、その媒介契約にはいくつか種類があります。今回は、3種類ある媒介契約のうち、専任媒介契約について詳しく解説します。

また、媒介契約を結ぶときにはいくつか注意して欲しい点もありますので、媒介契約の基本的な注意事項についてもわかりやすくお話しします。

自分に有利な条件で売買を進めていくために、どの媒介契約を選ぶべきか迷っている人は、ぜひ参考にしてください。

専任媒介とは?その他の契約方法との違い

媒介契約には、以下の3つがあります。

  1. 専任媒介契約
  2. 専属専任媒介契約
  3. 一般媒介契約

このうち専任媒介契約とは、1社のみと媒介契約を結ぶことができ、なおかつ自分で買い手を見つけることもできるという契約の方法です。

専任媒介契約は1社のみと契約する方法

不動産仲介会社はいくつもありますが、専任媒介契約を結ぶと、その会社以外に売買を依頼することはできなくなります。

他に買い手が見つかった場合自分で契約してもOK

売買を依頼した不動産会社が買い手を見つける前に、もし自分で見つけることができたなら、その人と直接売買契約を結ぶことが可能です。知人や親戚の中に、興味を持ってくれる人がいるかもしれないので、自分から積極的に売り込んでいくこともできるのです。

契約期間の上限は3ヶ月

専任媒介契約は、宅建業法第34条2項3号によって、契約期間の3ヶ月が上限だと決められています。これは上限ですので、1〜2ヶ月の契約でもかまいません。

また、契約期間が切れても物件が売れなかった場合、他社に切り替えても良いですし、契約を更新することもできます。自動更新ではありませんので、更新する場合は再度契約手続きが必要です。

7日以内にレインズに登録しなければならない

専任媒介契約を結ぶと、7日以内にレインズに登録する義務が生じます。レインズとは不動産業者だけが閲覧できる、物件情報サイトです。ここに掲載することによって、買い手を見つけるのが容易になります。

2週間に1度、営業活動を依頼主に報告する

レインズに物件情報を登録するとともに、どのように販促活動を行なっているのか、依頼主に報告する義務が生じます。

  • レインズへの登録が完了したこと
  • ポータルサイト等に物件情報を掲載したこと
  • どのような反響があったのか

など、2週間に1度、報告をします。

報告方法は電話、メールなど不動産会社によって違います。

専属専任媒介契約との違い

1社のみと契約するのは専任媒介契約と同じですが、自分で買い手を見つけて契約することはできません。もし購入希望者を見つけたとしても、必ず契約した不動産仲介会社を通さなくてはなりません。

レインズへの登録方法にも違いがあります。専属専任媒介契約を締結後、5日以内に登録することが義務付けられています。依頼主への報告も1週間に1回以上と、専任媒介契約よりも多いことが特徴です。

一般媒介契約との違い

一般媒介契約は、複数の不動産会社に仲介を依頼することができ、なおかつ自分で購入希望者を見つけることも可能な契約の方法です。契約できる会社の数に制限もありません。

いくつもの不動産会社とやりとりする手間があるものの、売買を依頼できるのが1社ではないことから、早く買い手が見つかる可能性が高いのがメリットです。

なお、一般媒介契約はレインズへの登録義務はなく、仮に登録したとしても依頼主への報告義務はありません。

専任媒介契約のメリット

1社のみと契約し、なおかつ自分でも買主を探せる専任媒介契約には、このようなメリットがあります。

積極的に販売活動をしてくれる

契約するのを1社に絞っていることから、不動産会社としてはがんばって買い手を見つければ必ず仲介手数料が入るというメリットがあります。ですから、一般媒介契約よりも積極的に販売活動を行ってくれる、というわけです。

レインズへの登録義務もありますし、たくさんの不動産会社と情報が共有されることで、買い手が早く見つかる可能性も高くなります。

1社しかないからやりとりが楽

一般媒介契約は、いくつもの不動産会社と契約することから、契約した数の分やりとりが必要になります。大抵の人は仕事をしながら買い手を探していると思いますので、忙しい中で複数の会社と連絡を取るのは大変です。

特に一般媒介契約の場合は報告義務もありませんので、自分で聞かないと向こうから連絡をしてきてくれないかもしれません。その点、専任媒介契約は契約が1社のみなので、連絡が楽になります。

仲介手数料がかからない可能性がある

専任媒介契約なら不動産会社に依頼しつつ、親戚や知り合いに自分から積極的に働きかけ、希望者を探しても良いのです。不動産会社を通さずに契約できれば仲介手数料が節約できるかもしれません。

ですから、もし知人や親戚などに働きかけができそうなら、専属専任媒介契約よりも専任媒介契約の方が自分で買い手を探せる可能性を残しておけます。

専任媒介契約のデメリット

1社に任せることがかえってデメリットとなってしまうことがあります。ただ、デメリットもあるということ知っていれば、対処は可能です。

信頼できる会社でなければ成果が期待できない

契約を1社に絞るからこそ、その会社ががんばってくれなければいつまで経っても買い手が見つかりません。売れるかどうかが、営業担当の能力にかかっているといっても過言ではないので、その担当者の実力によっては、まったく売れる気配なし、という事態もあり得ます。

ですから、専任媒介契約を結ぶ際には会社の知名度だけでなく、どのような人が担当してくれるのか、優秀な担当者がいるのか、実績などもよく比較して選ぶことが大切です。

囲い込みに注意が必要

囲い込みとは、売り手からも買い手からも仲介手数料をもらう「両手仲介」を目的として、他社に対して情報を提供しないという悪質な行為です。

たとえばレインズに物件情報を登録すると、他社から問い合わせが入ってくるでしょう。しかし囲い込みをしたい不動産会社は「すでに申し込みが入っています」などと嘘をついて他社に紹介をしないのです。

また、悪質なケースになるとそもそもレインズに登録しなかったり、登録してもすぐに削除したりして、他社の目に触れないようにします。

そして、自社で買い手を見つけ、仲介手数料を買い手からももらおうとします。

囲い込みのデメリットは、買い手が見つかるまでに時間がかかること、そして本来売れたはずの金額よりも価格が下がってしまう可能性があることです。

他社から5,000万円で買いたいという問い合わせがあったとしても、囲い込みをするような会社は、自身で見つけた「4,500万円買う」という人に売るでしょう。価格が下がったとしても、両手仲介になることで不動産会社の利益は上がるからです。

このような事態を防ぐためには、レインズに登録した時の登録証明書を発行してもらうこと、そしてレインズで取引状況を確認することです。レインズは不動産会社のための情報網ですが、売主はIDとパスワードをもらって登録されている内容を確認することができます。

囲い込みを完全に防ぐことは難しいのですが、「売主が囲い込みについて知っている」という印象を持たせるだけでも、予防にはなるかもしれません。

まとめ:専任媒介契約とは1社のみと契約し自分でも買い手を見つけられる方法

媒介契約には3種類あります。専任媒介契約とはそのうちの1つで、1社のみと媒介契約を結びます。同時に、自分でも買い手を見つけることが可能です。

ですから、販売活動を不動産会社に依頼しつつ、自分が買い手を見つければ、仲介手数料を支払わずに済むこともあります。

販売を1社のみに依頼しますので、やりとりが楽ですし、積極的に販売活動をしてくれることから、買い手が早く見つかる可能性があります。

一方で、1社にしかお願いしないことがデメリットになる可能性もあります。担当者の力量に大きく左右されてしまうため、信頼して任せられる人なのか、よく話を聞いてから決めるようにしましょう。