客付けとは?元付けとの違いや仕事の内容について詳しく解説

不動産会社の仕事は多岐に渡りますが、大きく分けて客付けと元付けという分類があります。これから不動産業界への就職・転職をお考えの方は、知っておくべき基本的な知識です。

家は、貸したい人・売りたい人と、借りたい人・買いたい人がそれぞれいます。両者を繋ぐのが不動産会社の役目ですが、借りたい人や買いたい人を見つけるのが客付けの仕事です。

では具体的にどのような仕事をするのか、賃貸仲介と売買仲介、それぞれ分けて解説をします。仕事の内容や流れを知っておくことで、どちらの業務をメインで行っている会社なのかがわかるようになります。不動産会社選びの参考にもなるでしょう。

客付けとはお客様を見つける仕事

客付けとは、部屋を借りたい人、家を買いたい人を見つける仕事です。「客付け業者」と呼ばれることもあります。お客様を見つけて、最適な物件を紹介します。

客付けに対する言葉で、元付けという仕事もあります。こちらは、部屋を貸したい人、家を売りたい人から依頼を受けるのが仕事です。直接依頼を受けて、借主や買主を見つけます。

客付け業者は、借りたい人や買いたい人を見つけたら元付け業者に紹介します。ですから、家を貸したい人や売りたい人と直接交渉することはありません。

賃貸仲介における客付け業務

賃貸仲介での客付け業務とは、部屋を借りたい人に物件を紹介し、賃貸契約を結ぶのが仕事です。その後の管理業務などは別会社が行っていることが多いので、契約したらそこで仕事は終わり、というケースが多いです。

仲介手数料は賃料の1ヶ月分が上限

客付け業務では、賃貸契約まで進めば借主から仲介手数料がもらえます。1件につき、賃料の1ヶ月分が上限です。成功報酬ですので、契約がまとまらなければ、何件物件を案内しても報酬がもらえません。

本来は、貸主と借主、それぞれから支払われる仲介手数料は賃料の半月分なのですが、依頼主の承諾があればどちらか一方から1ヶ月分を受け取ることができます。

そのため、賃貸契約書には「仲介手数料は借主が払う」と書いてあることが多いです。

賃貸仲介の客付けが売買仲介につながることがある

どんなに多くても賃料の1ヶ月分しか仲介手数料がもらえないのでは、割りに合わない仕事だと思う人もいるでしょう。

しかしそうとも言い切れません。実際のところ、客付け業務と元付け業務がきっちり分かれていることは少なく、両方行っている不動産会社が多いものです。

不動産のオーナーに、いきなり「アパートを売りませんか」と営業をしても、すぐに応じてくれる人はまずいないと思います。それよりも、「空室対策をしませんか」と話をした方が聞いてくれるでしょう。

積極的に物件を紹介し、信頼関係を築いていくことで、物件の管理や売却の相談を持ちかけられることもあります。

まずは空き室をなくす提案から地道に仲介手数料を稼ぎ、それが将来的に売却という大きな仕事につながる可能性もあるので、賃貸仲介の客付けは非常に重要な仕事です。

賃貸仲介の客付けの流れ

物件を掲載してからお客様を見つけて契約するまでの、客付け業務の主な流れについて説明します。客付け業務は主に反響営業になるので、基本的にアポ取りや飛び込み営業などの仕事はありません。

物件情報の掲載

自社のウェブサイトはもちろん、ポータルサイトに物件情報を掲載したり、チラシを作ってポストに投函したりします。また、不動産業者が見る専用のネットワークにも情報を掲載し、他社とも物件情報を共有します。

お客様からの問い合わせ対応

物件情報を見たお客様が、メールや電話で問い合わせをしてきたり、実際に来店されたりします。お客様から詳しく話を聞き、ニーズを引き出し、最適な物件を紹介します。

内見に案内する

お客様が気に入った物件があれば内見に案内します。実際に自分の目で見て契約するかどうか決めるお客様が多いので、ここが契約できるかどうかの重要なポイントです。

入居審査から契約、入居

内見をして物件が気に入ったら、いよいよ契約です。契約の前には入居審査が必要です。勤務先や保証人の有無などを確認し、家賃を滞納しない人であるかを慎重に審査します。

審査はとても大切な業務です。実際に審査を行なうのは管理会社ですが、管理会社に申込書を提出するのは客付けの担当ですから、入居しても問題ない人かどうか、しっかり見極める必要があるでしょう。

審査を通過したら、無事に契約に進みます。契約書への署名が済んだら鍵の受け渡しをして入居となります。

売買仲介における客付け業務

売買契約での客付け業務は、家を買いたいお客様を探すことが主な仕事です。

仲介手数料

買い手を見つければその人から仲介手数料がもらえます。これを片手仲介といいます。もし元付け業者が直接買い手を見つけた場合には、売主からも仲介手数料がもらえることになり、これを両手仲介といいます。

金額は物件の販売価格によって違いますが、簡易的な計算式があります。400万円を超える物件であれば、以下の式で計算した金額が上限となります。

  • 売買価格×3% +6万円+消費税

売買仲介の客付け業務で大切なこと

不動産の売買は賃貸と違って扱う金額が大きくなるため、そう簡単に契約には至りません。家を買うということは一生に一度のこと、という人がほとんどですから、お客様もたくさん悩み、迷います。

自分が理想の家に求める条件も漠然としていることが多く、こちらがいくら良い物件だと思って紹介しても、なかなか決まりません。ですから、客付け業務で最も大事なことは、お客様の希望を具体化して、条件を絞っていくことなのです。

丁寧に話を聞き、潜在ニーズを顕在化させていくことによってお客様の頭の中が整理されていきます。たくさんある物件の中からうまく絞り込みができると、お客様が「この物件を見てみたい!」と思えるような理想の物件を紹介することができます。

大切なのは、売り込もうとしないことです。「売りたい」気持ちが前に出てしまうとお客様の気持ちが離れていきます。

丁寧に話を聞き、その人にとって本当に良い物件を探したいという気持ちで仕事に取り組むことが売り上げにつながります。

売買仲介の客付け業務の流れ

売買仲介における客付け業務は、家を買いたいと思っている人に最適な物件を紹介することです。ここでは個人向けの物件を探し、売買交渉からローンの手続き、契約をするまでの流れについて説明します。

広告を作成し買い手を探す

売りたい物件をポータルサイトなどに掲載し、同時にチラシなどの広告を作成します。しかし売買の場合は待っていてもお客様が来ないので、テレアポなどこちらから積極的に動いていかなくてはなりません。

問い合わせ対応から物件案内

物件に対して何らかのアクションがあったら、もしくは積極的な営業によって買い手となりそうな人が見つかったら、現地の案内をします。ここでも、売り込もうという姿勢は厳禁です。

大きな買い物ですから、お客様が慎重になるのは当たり前です。しつこい営業だと思われたらそこで離れていってしまいますから、お客様の立場に立って話を聞くことが重要です。

契約とローンの手続き

そのままの金額で納得して購入となれば良いのですが、そうではない場合には条件交渉をします。交渉が成立したら、契約へと進みます。

現金一括で購入できる人はほとんどいないため、契約手続きの準備と同時にローン審査の準備もします。金融機関にローン審査を申請するための書類作成のお手伝いなどをします。審査が通れば重要事項説明を行い契約となります。

売買契約は作成する書類も多く、引き渡し時には司法書士が立ち会うことが一般的ですので、そのスケジュール調整なども忘れずに行います。

客付け業務で成果を上げるためには

賃貸でも売買でも、最終的に契約に至らなければどんなに頑張っても仲介手数料を得られません。では、契約まで持っていくにはどうするのか、それには日頃の情報収集と人脈作りにかかっています。

お客様を見つける前に、すぐに借り手もしくは買い手が見つかりそうな物件の情報をどれだけ持っているかが重要です。人気のない物件の情報をいくら持っていても、お客様は見つかりません。

そこで、日頃から横のつながりを大切にし、同業他社との情報交換を密にしておくことが重要です。知り合いが元付けになっていれば、客付けにしてもらうことも頼みやすいでしょう。また、自社のターゲット層のお客様に適した物件を紹介してもらうことも可能です。

良い物件情報を持っていることで、問い合わせがあったときに提案できる材料が増えますから、より成果に結びつきやすくなるのです。

まとめ:客付け業務とは借主や買主を探す仕事

客付け業務とは、お客様を探すことです。賃貸仲介なら借主、売買仲介なら買主を探します。

大きな流れとしては、物件情報を掲載し、問い合わせがあったら物件を案内するなどして契約まで結びつけるのが仕事ですが、売買仲介の場合は扱う金額が大きくなるため、契約までの道のりが賃貸よりはやや厳しくなります。

いずれの業務でも大切なことは、契約させようという気持ちを前面に押し出さないことです。お客様の話を真摯に聞き、その人にとって最適な物件を紹介することが売り上げにつながります。

また、日頃から情報収集をしっかりしておくことも大切です。こちらから営業をするにしても、魅力的な物件の情報をどれだけ持っているかによって成果が違ってきます。同業他社との繋がり、情報交換も重要な仕事です。