不動産業界はアフターコロナで変わる?予測不能な時代に生き残る方法
コロナの影響で私たちの生活はすっかり変わってしまいました。コロナはライフスタイルだけでなく、働き方にも変化をもたらしました。それは、不動産業界の仕事も例外ではありません。
お客様の来店は減り、オンラインツールを活用するなど営業スタイルも変えざるを得なくなりました。しかしそのおかげで、新しいアプローチ法などを見出した人もいるのではないでしょうか。
今後、不動産業界はどうなっていくのか、アフターコロナの時代に対応するための方法を考えていきたいと思います。
目次
アフターコロナは住みたい街が変わっていく
これまで家に求める条件は、会社に近いところだったり、交通の便が良いところが上位を占め、できるだけ都心に近い駅が人気でした。しかしコロナ禍によって人々のテレワークが定着し始めたことから、住みたい街にも変化が出てきました。
家で仕事ができるとなると、もはや会社の近くに住む必要はなく、わざわざ地価の高い都心を選ぶより、少し郊外の落ち着いた環境でゆっくりと暮らしたいという人が増えてきたのです。
大手賃貸ポータルサイトの「借りて住みたい街ランキング2021年度版」では、本厚木が1位となり、2位以下も大宮、柏、八王子など郊外の駅が占めています。池袋、高円寺、三軒茶屋など上位だった駅が軒並み10位以下に順位を落としています。
これは、生活が便利でありながら緑も多くあり子育てにも適した環境であること、乗り換えせずに都心に出られることなどから、郊外の駅の人気が高まっていると考えられます。テレワークが選択できる今、わざわざ家賃の高い都心に住む必要がなくなったということでしょう。
今後もこの傾向は続いていくと考えられています。安く、広い家に住める、そしてそれなりに便利な都心近郊の街の人気が高まっていくでしょう。
部屋の選び方にも変化
住みたい街の変化とともに、住みたい理想の部屋にも変化が出ています。以前は、駅に近いということが住まい選びで重要なポイントでした。駅に近い物件ほど家賃が高くなりますが、テレワークによって駅まで歩く必要がなくなった人にとっては、「広さ」の方が重要になったようです。
2020年12月のリクルート社の調査によると、およそ半数の人が「広さ」を重視すると答えています。家で仕事をするとなると、ひとりになれる空間が必要ですし、できれば仕事がしやすい書斎も欲しい。
そうなると、便利だけれど狭い都心の家より、広くてテレワークにも支障がない郊外の家の方が住みやすいということになるのでしょう。
通勤時間が長くても大丈夫
通勤時間の考え方にも変化が出てきます。以前は「60分以内」と答えていた人が多かったのですが、たまに出勤するだけなら60分以上かかっても構わないと考える人が増えてきました。
都心から地価の安い地方へと移転する企業も出てきていますので、自分が住みやすい理想の部屋さえ見つかれば、これまでのように通勤時間を考慮しなくても良くなってきているようです。
一戸建てが欲しい!
都心に住もうと思ったら、やはり一戸建ては難しいと諦めていた人も多いと思います。マンションならなんとか購入できるけれど、一戸建ての価格では手が出ないと思われていましたが、これもコロナ禍によって変化が出ています。
今や一戸建てを検討している人の方がマンションを検討している人よりも多く、「庭付き一戸建て」の人気が高まっています。
同じ都内でも、23区内と都下では地価が全く違います。少し郊外にいけば一戸建ても夢ではありません。マンションは密になりやすいということもあり、それよりは一定の広さがある一戸建ての良さが見直されているようです。
コロナ禍に加え、昨今の自然災害によってタワーマンションの脆弱さが明らかになったという点も影響していると考えられます。
在宅勤務への対応は必須
コロナウイルスは弱毒化しつつもまだ終息の兆しが見えません。東京都でもテレワークを推奨していますので、感染拡大がおさまった後でもこの傾向は続いていくと考えられます。
時差通勤やテレワークが広まりつつある中で、以前のように出勤させようとする会社も中にはありますが、以前と全く同じような社会に戻るのは不可能です。テレワークが実施できると分かった以上、従業員が少しでも働きやすい環境を整えていかなければ企業として生き残ることは難しくなるでしょう。
テレワークが定着していくことを考えると、仕事をする場所が必須になります。これまでは家族が過ごすリビング、子供部屋などが部屋探しの条件でしたが、そこに「テレワークしやすい部屋」が加わってきそうです。
自宅で仕事をしているとオンとオフが切り替えにくいですし、静かに話せる場所がないとオンライン会議などの対応が難しくなります。そのため、生活空間とは切り離された「仕事に専念できる場所」が必須になるのです。
今後の人気物件のキーワードは「テレワーク」になりそうですね。
ライフスタイル、消費行動にも変化
住まいの条件のほかにもコロナ禍によって変化が生じています。なるべく自宅から出ないようにいわれていた時期は、買い物の回数も控え、まとめ買いが推奨されていました。
直に自分で買いに行くよりも、ネット通販を利用していたという人も多いと思います。コロナを機に、「買い物はネットで」となった人も多いのではないでしょうか。
そうなると、まとめ買いしたものを収納しておく場所が必要です。お米や水、トイレットペーパーなどはとても場所を取るので、収納が大きな物件の方が便利です。ネット通販を利用したときに、留守中に荷物を受け取れるよう、宅配ボックスがついている物件も今後人気が高まりそうです。
また、これまではお出かけするというと都心の混み合う場所が多かったかもしれませんが、コロナ禍によってキャンプ場や海の近くなど自然の中で過ごすことが増えたという人もいるでしょう。自然が豊かな街でのびのびと子育てがしたいという考えから、郊外の街の人気は依然として継続しそうです。
アフターコロナはどんな物件が人気になるか
さて、コロナ禍によって生じた変化についてお話ししてきましたが、まとめると、
- テレワークに適した物件
- 駅に近くなくても理想の部屋がある物件
- 子育てもしやすい郊外の物件
などが人気になりそうです。
もう少し具体的に、どのような物件が人気になりそうか掘り下げてみます。
仕事に適しているのは低い天井
カテドラル効果という言葉をご存知ですか?カテドラルとは「聖堂」という意味で、天井が高い部屋はゆったり過ごすことに適していて、創造性などを活性化させるといわれています。
逆に天井が低い部屋は集中力が高まるといわれています。天井が低く、静かな場所はテレワークに適しています。家で仕事をしたい人はそのようなスペースがある物件がおすすめです。
ネット環境は必須
テレワークにネット環境は必須です。回線スピードなども重視されますから、オンラインで仕事をするのに支障のない環境を整えられる物件が人気となるでしょう。
通勤圏が拡大する
毎日出勤しなくてはならなかった時は、通勤時間は短いほど良かったのですが、もはや問題ではなくなりました。たとえ片道90分かかったとしても、座席に座って仕事も可能ですし、週に1〜2回なら指定席に座ってゆったり通勤するのも良さそうです。
豊かな自然と商業施設の揃った街の物件の人気は、これからもさらに高まっていくでしょう。
不動産業界のIT化推進は必須
不動産業界はIT化が遅れていると言われていますが、コロナ禍によってVR内見やIT重説のシステムを整えてきた会社もあると思います。
これからは従来のやり方に固執をしている会社は淘汰されてしまうでしょう。不動産テックによってこれまでのやり方を根本から見直し、デジタルツールを使いこなしていくことは必須です。
まだアナログな仕事をしているという会社は、今が生まれ変わるチャンスです。
まとめ:アフターコロナで不動産業界も生まれ変わる
コロナ禍でテレワークが普及したことにより、これまでのように会社に近い都心に住む必要性が薄れてきています。人気のエリアもどんどん郊外に広がっていますし、便利なところに住むよりも安くて広い家に住める方が重要になってきました。今後はテレワークがしやすい物件の人気が高まっていくと考えられます。
また、不動産業界のIT化もさらに進めていく必要があるでしょう。一般企業の働き方が変わり、住まいに求める条件も変わっていくなら、仲介業務を行う不動産会社も変わっていくのは必然です。