不動産仲介業での独立開業が難しい理由と失敗しない3つの方法
不動産仲介の仕事で独立開業は難しいといわれていますが、実のところ、独立自体はそれほど難しくありません。事業を継続していくことが難しいのです。
成功するためには先を見通す力が必要です。他の業種と比べ、小さな事務所でも開業が可能なため、それほど資金がなくても開業できると思い、見切り発車をしてしまう人も多いのです。
独立開業をすることは簡単でも、経営を黒字で続けていくことは決して簡単ではありません。数年で終わってしまっては、独立が成功したとはいえないでしょう。
ですから、開業する前に、不動産仲介で独立するのが難しいといわれる理由を理解し、しっかりと計画を立てることがとても大切です。そこで今回は、なぜ独立がうまくいかないのか、失敗しないための対策も含めて詳しく解説します。
目次
不動産仲介業で独立することはそれほど難しくない
不動産仲介業で独立しようと思った時、ある程度の資金を貯めておけば開業自体はそれほど難しくはありません。たとえば飲食業などは、開店する場所を確保し、設備を整え、人を雇わなくてはならないですが、不動産仲介業はひとりでも開業が可能です。
ただし、一人で開業するなら宅地建物取引士の資格を取ることは必須です。
事務所を構える必要はありますが、そんなに広い場所ではなくとも仕事をすることは可能です。本来なら1,000万円かかる営業保証金も、全日本不動産協会に入会して分担金を支払えば免除になります。
飲食業でお店を構えるときは最低でも1,000万円はかかることを考えれば、かなり少ない金額でビジネスを始めることが可能です。
加えて、在庫を抱えなくて済むことも開業しやすい理由の一つです。物を売るビジネスですと、通常は仕入れが必要ですが、不動産の場合は実際に物件を購入しなくても開業が可能です。
不動産仲介業で独立して事業を続けることがなぜ難しいのか
開業することが簡単なら、すぐに成功すると思われがちですが、開業することと黒字経営を続けていくことはまた話が違います。誰もがうまくいくかというとそうではありません。事業を継続していくことがなぜ難しいのか、それにはこのような理由があります。
開業する時に先の見通しが甘い
他の業種に比べれば、たしかに開業資金は少なくてすみます。しかし、事業を軌道に乗せるまでの運転資金をある程度確保しておかないと、すぐに行き詰まってしまいます。
- 事務所の賃料
- 光熱費
- ホームページの管理費
- ポータルサイトへの掲載料・広告費
などの費用がかかりますし、加えて、自分が生活をしてくための費用も必要です。
開業したての頃は、不動産会社にいた頃の人脈を使ってそれなりにお客さんを見つけられるかもしれません。
しかし、継続して顧客を獲得していくためには、それなりに広告費などもかかります。毎月どのくらいのお金が出ていくのか考えておかないと、あっという間に資金が底をついてしまいます。
自分の力を過信している
不動産会社の社員として仕事をしているときに、営業成績の良かった人ほど要注意です。会社員として働いている時には、会社の看板の力が大きいものです。
もちろん、個人の努力はありますが、「○○会社だから」という理由で契約してくれた人も少なくないでしょう。
それなのに、自分一人の力で成し遂げた結果だと過信してしまうと、あとで痛い目に遭うことになります。これなら独立しても十分やっていけると開業してみたものの、「思ってたのと違う…」となってしまう人は多いものです。
今は、インターネットで会社情報を調べる人も少なくありません。会社としての知名度がない状態では、初めてのお客様から信頼を得るのは難しく、十分な集客ができずに経営が傾いていきます。
売り上げが安定しない
不動産業は繁忙期と閑散期があり、売り上げが大きい月とそうでない月の差が激しい事業です。どうしても収入が不安定になりがちで、先の計画を立てにくいという面があります。それも考慮したうえで資金を確保し、事業の計画を練らなくてはなりません。
一般的には6月〜8月の間は不動産の閑散期だといわれています。売り上げがあがらない時期をどう乗り切るかが、事業継続のカギとなります。
不動産仲介業の独立開業で失敗しないための3つの方法
不動産仲介業の独立はそれほど難しくはないものの、黒字経営を続けていくのは簡単ではありません。しかし、個人でも成功できるのが不動産業の魅力ですから、失敗しないように対策を取れば良いのです。
数年分の運転資金を確保しておくこと
お金がないと正常な判断ができなくなることがあります。なんとか収益をあげようと、焦って効果のない広告に多額の費用をかけてしまい、ますますお金がなくなるということも。
ビジネスには様々な判断が必要ですが、安心してビジネスに集中するためには、当座の生活に困らないよう運転資金をある程度確保してから開業することをおすすめします。どうにかなるだろうという見切り発車が一番いけません。
毎月の固定費に加えて、広告費にどのくらいかかるのか、事業を継続するためにいくら必要なのか事前にしっかり計算しましょう。開業してしばらくは収入がないことも想定して考えることが大切です。
思ったような売り上げが上がらなくてもしばらくは生活していけるように、貯蓄をしてから事業を始めれば、焦って道を誤るリスクを下げられます。
自分の強みを生かした集客を考えること
ビジネスが成功するかしないかは、集客にかかっているといっても過言ではありません。お客様が来ない最大の理由は、「知られていない」からです。これだけ情報があふれている中で、自分の会社をどうやって見つけてもらうのか、そして自社の強みをどう伝えるのか、そこを徹底的に考えなくてはなりません。
小さな会社には、小さな会社なりの戦い方があります。大手の会社と同じことをやっていては集客できませんので、しっかりとターゲットを絞り、他社と差別化していくのです。
- 新社会人や学生向けの賃貸アパート
- 女性専用物件
- ファミリー向けのマンション
- 住むところには徹底的にこだわりたい人のためのデザイナーズマンション
- ペットと一緒に暮らしたい人のマンション
など、一点に集中すると、その物件を求めている人に刺さる広告を作ることができるようになります。
誰をターゲットとした、どのような物件を扱うのかを決め、他社との違いを明確に打ち出すことこそが、小さな会社の生き残り戦略です。
人任せにしない、自分で考えることが大切
不動産仲介業に限った話ではないかも知れませんが、ビジネスを成功させるには自分の頭で考えて行動することが何よりも大切です。
というのも、ビジネスには正解がないからです。こうすれば必ず成功するという法則はなく、ターゲットや取り扱っている物件によって戦略は変わってきます。どうすれば集客できるのか教えてくれる人はいないため、試行錯誤しながら自分で正解を見つけるしかないのです。
行動については、必ずしも自分でする必要はありません。人に頼る、人の力を借りるというのも立派な行動です。何でもかんでも一人でやろうとするのではなく、上手に他力を利用しながら、経営をコントロールしていくことができればきっと成功します。
まとめ:不動産仲介業の独立はどう集客するかが成功のカギ
不動産仲介業での独立は、店舗やスタッフが必要な飲食業などと比べると、初期投資も少なく、それほど難しくはありません。ただし、事業を継続して黒字化することは簡単ではないという覚悟が必要です。
小さな会社は大手の不動産会社にはかなわない部分がありますから、小さいなりの戦い方があるのです。
ターゲットを絞り、「うちではこのような物件を扱っていますよ」という明確なメッセージを発信できるようになれば、特定の見込み客に刺さる広告を打ち出すことができます。そうすれば、他社と差別化し、自社の強みを生かした集客活動ができるはずです。
ビジネスには正解がありませんから、試行錯誤しながら自分の頭で考え、行動できることが成功への近道です。