賃貸仲介業のノルマはきつい?設定方法や達成するコツを解説

 賃貸仲介業 2022.07.19

不動産の営業職で気になるのはノルマではないでしょうか?きついのではないか、達成できなかったら何かペナルティがあるのではないか。不動産業界への就職や転職を考えている人が一番知りたい点だと思います。

ノルマがキツくて仕事が続けられなかったり、お給料が減らされてしまったりといった話も聞きますが、実際のところはどうなのでしょうか。

今回は賃貸仲介のノルマについて、設定方法や達成するための仕事のやり方などについて解説していきます。

そもそも賃貸仲介のノルマとは?

ノルマとは不動産業界以外でも使われている言葉ですが、そもそもどういう意味なのか、よくわかっていない人も多いと思います。元々はロシア語の「norma」という言葉からきており、「一定の時間内にこなさなくてはならない作業量」という意味があります。

個人またはチームに対して割り当てられるもので、営業職でいうと「今月の売り上げ500万円」「飛び込み営業1日30件」など最低でもこのラインをクリアしなくてはならない成果・成績がノルマといわれるものです。

似たような意味の言葉に「目標」がありますが、「今季の目標は○○」といったように目標は自ら掲げるものであり、達成すれば評価にもつながります。達成できなくても、多くの目標にはペナルティがありません。

その点ノルマは「達成して当然のもの」という位置付けです。評価云々の問題ではなく達成しなくてはならないもの、それがノルマです。達成できなければ評価が下がるなどのペナルティが課されることもあります。

賃貸仲介のノルマはどれくらい?

さて、賃貸仲介では実際どのくらいのノルマが課されているのでしょうか。一口に仲介業務といっても、扱う物件の立地や種類によっても売り上げは違ってきますので一概にはいえません。

売り上げ目標は給与の3倍

どんな物件を扱うかによってノルマは違うものの、一般的には給料の3倍が1ヶ月の売り上げ目標だとされています。もし30万円の給料を希望するなら、最低でも90万円の売り上げが必要だということです。ですから、転職する際には提示されている給料の3倍程度がノルマだと考えておけば良いでしょう。

この売り上げには、

  • 仲介手数料(家賃の0.5ヶ月分)
  • 管理会社から支払われる広告費(家賃の0.5〜1ヶ月分)

が含まれています。

単純計算ですが、家賃8万円の物件で仲介手数料と広告費がそれぞれ0.5月分ずつ、合計8万円入ってきたとしましょう。もしノルマが100万円だとしたら、月に10件以上の契約が必要になるということです。

ノルマの設定方法

ノルマは年齢や経験年数によって上がっていく場合もあります。あまりにノルマが上がるとその会社で働き続けることが難しくなることもあるので、ノルマの設定方法については事前に知っておきたいところです。

売り上げ金額ではなく「1ヶ月の契約5本以上」など契約本数がノルマになることもあります。設定の方法は会社によって違います。

ノルマは1度達成したら終わりではなく、基本的には毎月リセットされるものです。今月達成できても、来月はまた0からスタートしなくてはなりません。

ただし、不動産業界には繁忙期と閑散期がありますので、今月達成できたものが来月も同じように達成できるとは限りません。そのため、1ヶ月ごとではなく、3ヶ月、6ヶ月という単位で設定されることが多いです。

ですから、もし今月契約が0だったとしても、先月以前の売り上げや契約件数でノルマを達成できているのならそれで十分な場合があります。

ノルマを達成できない時のペナルティはある?

閑散期に契約件数が減少するのは普通のことですので、一度くらいノルマが達成できないからといってすぐに会社をクビになるということはないでしょう。しかし、営業職は売り上げを上げることが仕事です。何ヶ月も売り上げが低迷していては、会社に貢献できません。

ノルマの設定自体は会社の利益目標でもありますから、課されても仕方のないものです。ただし、「ノルマが達成できなかったら給料減額」などのペナルティは違法行為になる場合があります。

まず、労働契約や就業規則でノルマが達成できなかった時の給料カットについて定めているか、それが労働基準法や最低賃金法に抵触していないか、という点が重要です。

また、労働協約(労働組合と使用者との協定)があれば、労働契約や就業規則より優先されるため、労働協約でも明確に給与カット等のペナルティが定められていることも必要です。

そして、これらの条件を全てクリアしたとしても、労働基準法等に違反するような内容、公序良俗に反する場合には当然違法となります。

ですから、「今月ノルマが達成できていないから減給する」といわれてもそれを鵜呑みにせず、どのような根拠に基づく決定なのかを確認する必要があるでしょう。

賃貸仲介でノルマがある会社はブラック?

先ほども説明した通り、ノルマの設定自体は違法ではありません。利益を上げるのが会社の使命ですから、ノルマがあるというだけでブラック企業だということはできないでしょう。

また、明確なノルマがなかったとしても、売り上げが0で良いということではありません。営業職という仕事の性質上、半年経っても1件も契約が取れないなど、ノルマが全く達成できない状況を放っていいということにはならないです。

その場合は自分の仕事のやり方を徹底的に見直す必要がありますし、賃貸仲介業に適性がないということで他部署への異動や転職も視野に入れて考える必要があります。

賃貸仲介のノルマを達成するには

ノルマが課されている場合に、それを達成するにはどのような点に気をつけて仕事を進めれば良いか、ノルマ達成のコツについてお話しします。

常に最適な物件を紹介できるようにしておく

お客様が来てから物件を考えるのではなく、「こういったお客様にはこの物件が良いだろう」と常に物件のチェックを怠らないことが大切です。相談されてから物件を洗い出しているのでは、お客さまに逃げられてしまいます。

自分がお客様の立場だったらと考えればわかるでしょう。不動産屋にわざわざ足を運び、希望を伝えたらその通りの物件を紹介された!となれば、すぐにでも契約したくなるのではないでしょうか。

頭の中には常に物件情報を複数仕入れておくことが大切です。

紹介する物件に自信を持つ

お客様に物件を紹介するときは、その物件が一番だと自信を持って紹介することが何よりも大事です。売り手が愛情を持てない商品が売れるわけがないからです。

知識を深め顧客の信頼をつかむ

一般の人は不動産の知識があまりないことで契約などに不安を持っていることが多いものです。その不安を払拭してもらうためにも、物件についての情報はもちろんのこと、不動産や法律に関する知識を身につけ、お客様の質問に的確に答えられるようになりましょう。

「この人は色々なことを知っている」とお客様に信頼されるようになれば、自然と成約率も上がっていきます。

所作、教養なども身につける

大切なのは仕事の知識だけではありません。不動産仲介という仕事は人の人生にも関わる仕事ですから、お客様から「人」として信頼されることも大切です。

身だしなみや清潔感に気を使い、雑談の折にも丁寧な言葉遣いで相手に不快感を与えないよう注意しましょう。さまざまな年代のお客様に対応できるよう、本を読んだり勉強したりして普段から教養を身につける努力もしておきたいものです。

優秀な先輩のやり方を参考にする

営業成績が良い人は、仕事の進め方、お客様の対応の仕方などその人なりのやり方を持っているものです。自分とは何が違うのか、よく観察して学ぶことが大切です。

ストレートに、わからないことを質問してみても良いかもしれません。簡単に答えが得られないこともあると思いますが、うまくいかないときはうまくいっている人に意見をもらうのも参考になるものです。

まとめ:賃貸仲介のノルマを達成するには物件をよく知ることが大事

賃貸仲介の仕事には売り上げ金額もしくは契約件数といった形でノルマが設定されていることが多いです。ノルマの設定自体は違法ではないので、達成できるよう努力しなくてはなりません。

また、ノルマがなければ売り上げが0でも良いということではありませんので、ペナルティがなかったとしてもノルマを達成する努力が必要です。

売り上げを上げるには物件を知り尽くしていること、常に良い物件情報を仕入れ、お客様に自信を持ってその物件を紹介できるようになっておくことです。

罪悪感を持つことなく、心から自信を持って良い紹介できるようになれば自然と売り上げは上がるでしょう。