賃貸仲介と売買仲介の違いとは?仕事内容やメリット、デメリット

不動産関係の仕事は様々な種類がありますが、その中でもやはりメインとなるのは営業職です。営業の仕事は大きく分けると賃貸仲介と売買仲介とに分類されます。

どちらも貸主と借主、売り手と買い手を結びつけるのが仕事ですが、仕事の内容や流れ、扱う金額も違います。

そこで今回は、賃貸仲介と売買仲介はどんな違いがあるのか、その仕事の内容からメリット、デメリットまで詳しく解説します。

これから不動産業界を目指す人や、仲介業務に興味のある方は是非参考にしてください。

賃貸仲介とは貸主と借主を繋ぐ仕事

アパートやマンションの大家さんと、家を借りたい貸主とを繋ぐのが賃貸仲介という仕事です。扱う物件は、個人が住む居住用の物件と、お店や事務所などに利用する事業用の物件があります。

賃貸仲介の仕事の流れ

  1. 入居者募集の依頼を受ける
  2. 物件情報をポータルサイト等に登録する
  3. お客様からの問い合わせ対応、内見
  4. 入居審査、重要事項説明
  5. 賃貸契約

物件情報は、自社のウェブサイトだけでなくポータルサイト等にも掲載してできるだけ多くの反響を得るようにしますが、ポータルサイトは他社との競争になりますので、反響があったときにいかに早く対応できるかどうかが、契約獲得のカギになります。

賃貸仲介のメリット

賃貸物件は、価格がそれほど高くないので契約しやすく、繁忙期には自然と契約件数が増えます。また、こちらから積極的に営業を仕掛けなくても、問い合わせに対して物件を紹介する反響営業が中心になるので、未経験でもチャレンジしやすい仕事です。

賃貸仲介のデメリット

1〜3月の繁忙期は本当に忙しいです。最も稼げる時期ですのでこの間は頑張らないといけないのですが、ここで契約できないとそのまま空室になってしまう可能性も高いので、プレッシャーも大きいでしょう。

また、単価が低いため、歩合給があってもそれほど大きな収入アップにはつながりにくいのがデメリット。若いうちは良いのですが、賃貸仲介のみで仕事をずっと続けていくことは難しいため売買仲介にも携わりたいところです。

しかし、賃貸仲介と売買仲介では必要とされる知識が違い、仕事の内容も違うため、賃貸仲介から売買仲介へとステップアップするのが難しいです。

売買仲介とは売り手と買い手の取引をサポートする仕事

売買仲介は、売りたい人から依頼を受けて買い手を探す、または買いたい人から依頼を受けて良い物件を紹介する仕事です。不動産会社が直接売主となっているわけではないので、「不動産売買」ではなく「売買仲介」と呼びます。

売買となると扱う金額も大きくなるため、成約までのハードルが高いのが特徴です。

売買仲介の仕事の流れ

仕事は、売り手と買い手、どちらの仲介かによって流れが若干違います。

<売り仲介>

  1. チラシ、広告等で売主を探す
  2. 物件を査定する
  3. 売主と媒介契約を結ぶ
  4. 買い手を探す
  5. 契約
  6. 物件の引き渡し

<買い仲介>

  1. チラシや広告で買いたい人を探す
  2. 購入希望者に物件を案内する
  3. 売買交渉
  4. 必要に応じてローンの手続き
  5. 重要事項説明
  6. 契約
  7. 物件の引き渡し

売買仲介が賃貸仲介と大きう違う点は、扱う金額が大きいことと、所有権の移転という法律行為が伴うことです。

自己資金だけで購入できる人は少ないため、ローンをどうやって組むか、お客様と相談しながら話を進めていく必要がありますし、不動産登記など初めてのことでお客様が不安にならないようサポートしていくのも重要な仕事です。

売買仲介のメリット

売買仲介では、数千万円、場合によっては1億円を超える物件を扱います。簡単に購入できる金額ではないため、契約成立までには時間がかかることもあります。

その分、その重要な決断を促すことができるだけの高い営業スキルが身につき、契約がとれたときにはこの上ない満足感ややりがいを得られる仕事です。

また、歩合制を導入している会社が多いので、結果を出せば他の業界の営業職と比べて年収も高くなります。

売買仲介のデメリット

がんばって結果を出せば、同世代と比べて年収が高くなる仕事ですが、その分プレッシャーも大きい仕事です。

特に売買仲介は、営業スキルはもちろんのこと、不動産以外の法律的な知識も必要とされるため、常に向上心を持って勉強しなくてはなりません。

家を買うかどうかは景気に影響される部分もありますので、がんばっても結果が出ないときもあります。ノルマが果たせず歩合給も減り、思ったように収入が増えないという悩みを抱えている人も多いです。

賃貸仲介と売買仲介の仕事内容、特徴の違い

不動産をお客さまに紹介する様子

では、具体的な仕事の違いについて説明します。扱う物件の価格も違いますので、どちらが良いかというよりも、どちらに向いているかと考えてみた方が良いでしょう。

契約のしやすさは賃貸の方が上

契約を獲得しやすいのは、やはり賃貸です。転勤や進学、結婚等で引っ越しをしなくてはならない人はたくさんいますし、もっと良い家に住みたいと引っ越し先を探す人は年間を通じていますから、お客さんに困ることはありません。

気に入ってくれればすぐ契約、となることも多いので、営業としての達成感も感じられるでしょう。

一方で、購入となると数千万円のお金が必要です。一般的には20年、30年というローンを組みますから、契約には慎重になります。

そう簡単には物件を決められないので、反響があったからといってすぐに契約に結びつくとは限りません。

売買仲介は本当に営業スキルが高くないとなかなか契約を取れず、賃貸仲介よりも他の人と差がつきやすい仕事です。

賃貸仲介は未経験でも始められる

賃貸仲介の場合は難しい法律の知識等はそれほど必要なく、お客様が気に入った物件を案内し、お客様の質問にきちんと答えられれば契約に至る確率は高いです。

基本的には飛び込み営業などは必要なく反響営業中心です。それほど高い営業スキルがなくても契約を取れる可能性がありますので、未経験からでもチャレンジできる職種です。

一方で売買仲介は、飛び込み営業やテレアポ、チラシ配りなど、まず買い手を探すところから始めなくてはならないので、手間も時間もかかり、何よりノルマ達成がきつい仕事です。

顧客の年齢層の違い

  • 賃貸:若い、独身者、学生、新社会人
  • 売買:30歳以上、既婚者、ファミリー層

賃貸物件は単身者もしくは子供のいない夫婦など若い世代のお客様が利用します。それに対して売買となると30歳以上の子供のいる世代が中心になってきいます。

子供の独立を景気に家を買い替えるシニア層もいますし、売買仲介は賃貸仲介と比べると顧客の年齢層が高いのが特徴です。

自分よりも年上の顧客の対応もしなくてはなりませんから、営業のスキルはもちろんのこと、接客マナーや不動産・金融の知識、一般教養、時事的な話題など会話のスキルも高いものが求められます。

稼げるのは売買仲介

仕事が大変な分、高い報酬が期待できるのは売買仲介です。賃貸仲介では手数料が低いため、歩合給を稼ぐためにはかなり件数をこなさなくてはなりません。

その点、売買契約は仲介手数料も高いです。仮に仲介手数料の10%が歩合になるとしましょう。

3,000万円の物件の仲介手数料はおよそ100万円になりますが、その10%の歩合がもらえるとすると、10万円。月に1件の契約でも基本給に10万円プラスされるということです。

2件、3件と契約件数が増えればかなり報酬も高くなるので、売買仲介の営業マンは他業種の営業マンよりも年収が高めです。

売買仲介の方が専門知識が必要

報酬の高い仕事は、もちろん高度なスキルが求められます。売買契約では不動産に関する専門知識だけでなく、民法や金融に関する知識が不可欠です。

また、年齢層の高い人を相手にすることから、社会人としての常識、マナーを身につけていることも求められます。

大変ではありますが、その分知識は身に付きますし、非常にやりがいのある仕事です。

賃貸か仲介かではなく、不動産営業という仕事に何を求めるのか

賃貸仲介と売買仲介の違いについて説明をしてきましたが、仕事を選ぶにあたって、どちらがいいということはありません。稼げるから売買仲介がいい、契約を取るのが楽そうだから賃貸仲介がいいという選び方では後悔するでしょう。

仲介という仕事を通して自分がどう成長していきたいのか、何を成し遂げたいのか。自分がやってみたいこと、お客様に喜んで欲しいこと。

向き不向きなど様々な角度からこの仕事について考え、チャレンジする方向性を決めることをおすすめします。

まとめ:賃貸仲介、売買仲介の違いを知って仕事を選ぼう

賃貸仲介は貸主と借主をつなぎ、売買仲介は売り手から買い手に所有権を移転するサポートをするのが仕事です。

賃貸仲介は扱う金額が低いので契約を取りやすいというメリットがありますが、その分歩合給は低くなります。

売買仲介は歩合給が高いですが、それほどたくさん契約を取れるものではないですし、幅広い専門知識が必要とされる仕事です。

どちらが良いかは適性がありますし、自分が仲介という仕事に求めるものも人によって違うはずです。

今回ご紹介したそれぞれの仕事の違いをよく理解し、より適した方にチャレンジしてみてください。