賃貸物件の共益費の使い道と相場に関する疑問を解決!

賃貸物件で、誰もが気になるのは家賃ですが、そのほかに管理費や共益費といった費用が加わる場合があります。

「このお金、なんのためのものですか?」とお客様に聞かれた場合、正確に答えられるでしょうか?

家賃+共益費となっていた場合、どのくらいが相場なのか、共益費がない物件はあるのかなど、お客様の疑問についても答えられるようにしておきたいものです。

改めて共益費とはどのようなものなのか、どのようなことに使われているお金なのかなど、共益費の基本についておさらいしておきましょう。

賃貸物件の共益費とは

家賃は部屋を借りるときの費用であり、月毎に料金が設定されていることがほとんどです。その家賃にプラスされている共益費とは、アパートやマンションの共用部分を維持するための費用として使われることが多いです。家賃と同じように、月単位で金額が決められています。

共益費の使い道は共用部分の管理が一般的

  • 玄関ホール
  • 廊下
  • 共用部分の光熱費
  • 電球などの交換費用
  • 軽微な修繕費用
  • エレベーターの保守点検
  • 植栽の剪定
  • 管理人の人件費
  • 管理会社への委託費

などに使われれるのが一般的です。

しかし、共益費は必ずしも建物の管理に使わなくてはならないと決まっているわけではありません。使い道が法律で規定されているものではないので、必ずしも維持管理のために使われているとは限らないのです。

とはいえ、お客様にその通り答えるわけにもいきませんので、「共用部分の維持費などに使われています」と答えれば良いでしょう。

管理費との違い

「家賃+○○」と書かれているものとして、管理費があります。管理費は、その名の通り建物を管理するための費用なので、共益費と同じものだと思ってください。管理費も1ヶ月単位で家賃と一緒に支払います。

共益費は消費税非課税

家賃には消費税がかかりませんが、共益費も同様に非課税です。名目上「家賃+共益費」と表示している場合であっても、共益費は家賃の一部だからです。

賃貸物件の共益費の相場

共益費の金額は、家賃と同じく大家さんまたは管理会社が決めています。維持費用とはいっても厳密に計算しているわけではないので、地域によってもばらつきがあるのが現状です。

明確な基準はないが家賃の5〜10%程度が相場

共益費は法律に基づいて決められている費用ではないため、金額の設定は自由です。しかし、あまりに高いと入居者が集まりませんので、一般的には家賃の5〜10%が相場となっています。家賃が10万円なら、5,000円〜10,000円くらいです。

ですので、同じアパートやマンションでも、部屋の広さによって違いが出てきます。家賃が高ければ、共益費も高くなる傾向があります。

また、建物の設備によっても金額が違う場合があります。

  • A:木造2階建てアパート、築15年
  • B:鉄筋コンクリートの5階建てマンション、エレベーター付き、オートロック、新築

たとえばこのような建物の違いがあるとします。駅から同じくらいの距離にあり、部屋の広さが同じだったとしても、Bの方が家賃は高くなります。また、設備もBの方が充実していますから、共益費も高くなることが多いです。

もし少しでも共益費が安い物件を選びたいなら、築年数が経っていて、設備が少ない物件を探しておすすめすると良いでしょう。

繁忙期と閑散期で金額が変わることがある

繁忙期とは1〜3月の転勤や入社、入学を控え、引っ越しをする人が増える時期のことです。この時期は、放っておいても入居者が集まる時期で、集客にも苦労しません。

一方で、8〜10月の閑散期は人の移動が少なく、空き室がなかなか埋まらないことがあります。入居しそうな人がいれば、大家さんが家賃を下げてでも「うちに決めて欲しい」と思う時期なのです。

共益費を下げる場合もあり、同じ間取りの部屋でも入居した時期により金額に差が出ることがあります。

お客様の疑問に答える、共益費に関するよくある疑問

共益費は管理費のようなものであるとお客様に理解をしてもらったところで、さらに疑問を持たれることもあると思います。よく聞かれることについて、的確に答えられるようにしておきましょう。

共益費がない物件はお得なのか

お客様の中には、「共益費がない物件がいい」と希望される方もいると思いますが、一見共益費がないように見えても、家賃に含まれていることがほとんどです。家賃と共益費が別になっていないだけですので、共益費がない物件であると勘違いされないよう、きちんと説明しましょう。

また、家賃に共益費が含まれている場合と別になっている場合、自分にとってどちらがプラスになるのか、お客様の状況によって変わりますので正しく理解してもらうことが重要です。

  • A:家賃に共益費が含まれている→共益費(5,000円)込み70,000円
  • B:家賃・共益費が別→家賃65,000円+共益費5,000円

どちらも支払う金額は70,000円です。しかし、それぞれのメリット、デメリットがあります。

Aは、家賃が70,000円となりますので、たとえば会社から家賃補助がある場合で、家賃の額に対する割合で支給されたり、全額支給されたりする場合、共益費込みの金額がお得になります。

しかし、初期費用や契約を更新するときはBがお得です。敷金、礼金、更新料は家賃の○ヶ月分と計算しますので、見た目の家賃が低い方が支払う金額が少なくなります。

日本経済団体連合会の「第63回 福利厚生費調査結果報告」によりますと、2000年以降、住宅関連の手当は減少傾向にあるため、家賃補助などで恩恵を受けられる人は少なそうです。

毎月支払う金額が同じなのであれば、初期費用や更新料を抑えられるBパターンの方がお得に感じるのではないでしょうか。

共益費が高ければ管理が行き届いているのか

共益費は一般的には建物の維持費として使われているとすると、金額が高ければそれだけ管理が行き届いているのではないかと思われがちですが、残念ながらそうではありません。

共益費の金額は大家さんまたは管理会社が決めていますから、維持費用、管理人の人件費などを厳密に計算して決めたものとは限らず、管理の徹底と共益費の金額とは必ずしもリンクしていないことに注意が必要です。

建物の管理がお客様の満足のいくレベルなのかどうかは、共益費の金額で考えるのではなく、実際に内見をした時に確認してもらうのが良いでしょう。

共益費を払わないとどうなるのか

共益費が管理費と同じ性質のものであれば、その費用を支払うことで共用部の管理をしっかりしてくれると思うものでしょう。しかし、掃除が行き届いていなければ共益費を払いたくない、払う必要がないのでは?と思う人も出てきます。

最初に説明したように共益費は家賃の一部ですから、払わないという選択肢は残念ながらありません。共益費を払わなければ家賃を払わなかったことになり、最悪、契約解除という可能性もあります。

ですから、もしお客様が「管理が悪くて払いたくない」と言った場合、払わないようにするのではなく、いったん支払った上で管理会社に掃除を徹底するようにいう、もしくは共益費の減額を求めるなどの要求をしていく方が現実的です。

共益費の値下げ交渉は可能か

共益費は家賃の一部ですので、値下げ交渉は可能です。先ほども説明した通り、時期によって変わることもありますから、交渉次第では値下げをしてもらうこともできるでしょう。

エレベーターを使わなければ共益費は安くなる?

たとえば、1階に住むのでエレベーターは使わない、だから共益費を安くして欲しいというお客様もいます。しかし一般的に、住んでいる階層によって共益費が安くなることはありません。

まとめ:共益費は管理費のようなもので家賃の一部

共益費は法律で使い道が決められている費用ではありませんが、一般的には共用部の管理や掃除など、管理費のようにして使われています。家賃の一部ですので、消費税はかかりません。

金額は家賃の5〜10%程度が相場ですが、あまりに高いと感じる場合や管理や掃除が行き届いていないという場合には値下げ交渉も可能です。

中には払いたくないというお客様もいるかもしれません。しかし払わなければ家賃の不払いになってしまいますので、納得いかない時には値下げの方向で話をしましょう。

それであれば共益費なしの物件がいいというお客様もいますが、共益費を外に見せていないだけで、家賃に含まれていることがほとんどです。その仕組みをよく説明して、納得してもらうことが大切です。