木造アパートのメリットとデメリット〜気になる耐震性や遮音性は?
木造アパートというと、壁が薄くて隣の家の音が気になるとか、あまり丈夫な建物ではないのではないかとデメリットを気にする人も多いと思います。
しかし、木造には木造の良さもありますので、お客様にメリットを知ってもらえれば、良い物件をたくさんご紹介できるでしょう。
イメージだけで賃貸物件を選んでしまい、住んでから後悔している人も少なくありません。ですから、メリットとデメリットをきちんと説明すれば、間違いのないお部屋選びのお手伝いができるはずです。
今回はメリットとデメリットを解説するとともに、デメリットが気にならないようにする方法についてもお話しします。お客様に説明する際の参考にしてください。
目次
木造アパートのメリット
木造アパートというと、あまりきれいではないイメージを持たれるお客様もいらっしゃいますが、そのようなことはありません。木造ならではのメリットをご紹介します。
木造アパートは家賃が安い
建築に使っている資材が木材なので、鉄筋コンクリートの建物と比べると家賃が安いです。
一般的に木造アパートというと2階建てまで、鉄筋コンクリートというと3階以上のマンションになることが多く、マンションには資材にもお金がかかります。
同じような間取り、広さの部屋であれば、10%ほど木造アパートの方が家賃が安くなります。それに伴い、敷金や礼金などの初期費用も安く済むでしょう。
また、アパートにはエレベーターなどマンションによくある設備がないことから、管理費も安くなります。
通気性が良く熱がこもりにくい
木造アパートは通気性にも優れています。部屋の中に熱がこもりにくく、外と内側の温度差が少ないことから、結露が発生しにくいというメリットもあります。とはいえ、すーすーと隙間風が入るようなことはありませんので、安心してください。
また、木材は湿気を吸いつつ、放湿もしてくれるので、自然と湿度をコントロールすることができるのです。カビが生えにくいことから、アレルギーなどの不安がある人も安心して住めるでしょう。
空間を有効活用できる
木造アパートは、鉄筋コンクリート造などと比べると室内の梁が少なく、部屋を広く使えるというメリットがあります。
鉄筋や鉄骨で作られている部屋は、どうしても梁や柱が出っ張ってしまうために、空間が狭くなりがちです。実際に内見してみると、表記されている平米数よりも狭く感じるのはそのためです。
その点、木造アパートは梁や出っ張った柱が少ないことから、部屋が凸凹しておらず、部屋が広く感じるだけでなく、家具の配置もしやすいのです。
木造アパートのデメリット
実際に住んでみると、デメリットだと感じられる部分もあります。木造ならではの通気性の良さがデメリットになることも。ただ、対策もできますので、デメリットはメリットに変えていきましょう。
生活音が漏れやすい
通気性が良い、つまり気密性が低いので、どうしても音が漏れやすく、響きやすいです。隣で大騒ぎをされたらうるさいですし、上階の足音などが気になる人もいるでしょう。その逆もあります。自分はそんなつもりがなくても、下の階の人にうるさがられる可能性もあります。
また、幹線道路が近いと、夜でも車の音が気になるなど、外からの音もうるさく感じることもあるかもしれません。
まずは、どのくらい音が気になるか、内見は昼と夜、どちらの時間帯もしてもらうと良いでしょう。そのうえで、どうしても音が気になるなら、
- 防音カーテンを使う
- 床に防音シート、または厚手のカーペットをしく
などの対策をしておくと安心です。
密閉性が低く冷暖房の効率が悪い
生活音が漏れるのと同じ理由で、密閉性が低いことから、部屋の中の空気は外気の影響を受けやすくなります。夏はエアコンが効きづらく、冬は部屋の中の暖かい空気が外に逃げてしまい、冷暖房の効率はあまりよくありません。光熱費がかさむ原因にもなります。
ただし、工夫次第で快適に過ごすことも可能です。たとえば、
- エアコンと一緒にサーキュレーターを使う
- 断熱シートを窓に貼る
- 保温性のあるカーテンを使う
など、冷暖房の効率を高める方法があります。
虫が出やすい
気密性が低いということは、ところどころに小さな隙間があるということです。木造という構造上仕方のないことですが、その小さな隙間から虫が入り込むリスクは鉄筋コンクリート造りよりも高くなってしまいます。特に築年数が立っていると隙間も多くなり、虫が出やすくなります。
虫の対策としては、
- ドアや窓の隙間を塞ぐ
- 排水溝は目の細かいゴミ受けを使って害虫の侵入を防ぐ
- 換気をして湿気がこもらないようにする
などがあります。
どうしても虫が気になる人は、入居する前に一度害虫駆除の薬剤を焚いておくことをおすすめします。家具を入れる前に虫の卵にも効果のある薬剤を使っておけば、入居後に虫の発生するリスクを少しでも抑えることができるでしょう。
木造アパートで心配されがちな点
木造アパートは鉄筋コンクリート造りの建物よりも弱いのではないか、地震などで倒壊してしまうのではないかという不安もあると思います。この点についても、適切な物件を選べば不安を払拭することができるはずです。
耐震性
木造というと、地震ですぐに倒れてしまうのではないかと心配する人は多いですが、耐震基準をクリアしている建物であれば大丈夫です。
まず、1978年の宮城県沖地震の被害を受けて耐震基準が見直されました。1981年6月1日以降の耐震基準を「新耐震基準」といい、この基準で建てられている建物は震度6〜7の地震にも耐えられるようになっています。
さらに、阪神・淡路大震災によってさらに耐震基準が強化され、2000年に改正がありました。この改正によって、事実上地盤調査が必須となり、壁の配置にバランス計算が適用されるなど、より倒壊しにくい設計が求められるようになりました。
ですから、新耐震基準で建てられている建物、特に2000年以降に建てられた木造アパートであれば、少々の地震で倒壊する心配はありません。
火災の心配
木材は燃えやすいですから、地震は大丈夫でも火事は怖いのでは?と心配される方もいると思います。たしかに、古い木造アパートは火の回りが早く、燃えやすいというリスクはあります。
一方で、木材の方が火に対する耐久性が強いというデータもあります。部屋の内側で火を出してしまった場合には外側へと延焼するリスクは高いものの、外側からの火に対しては、木材の方が鉄よりも耐久性があるということがわかっています。
火にさらされた場合、鉄は燃えることはないですが熱で柔らかくなり、倒壊しやすくなるのです。その点、木材は工法によっては燃えにくく耐久性が高いため、消防車が早く到着して消火できれば、大きな損害を防げる可能性があります。
また、最近の木造アパートは石膏ボードなど延焼を防ぐ素材を取り入れた工法で、さらに燃えにくくなっています。木造だから燃えやすいというのは誤解であり、耐火性を高めた建物であれば安心です。
デメリットが気にならない、快適な木造アパートを選ぶポイント
木造アパートのデメリットがどうしても気になるという方のために、少しでも不安を払拭できるポイントも押さえておきましょう。
建築された時期や工法を確認する
建物の耐震性や耐火性が心配だという方には、できるだけ築年数の浅い物件をご紹介するのが良いでしょう。2000年6月1日以降に建てられた木造アパートなら、耐震性も高いです。
耐火性については、ツーバイフォー工法で建てられていれば燃えにくいといわれています。柱や梁で作られる在来工法では、その枠組みが火の通り道となり全焼しやすいのですが、ツーバイフォーは太くて厚みのある角材や石膏ボードなどが使用されているので火が広がりにくいのです。
木造=壊れやすい、燃えやすいのではなく、いつ、どのような工法で建てられているのかを確認することが大切です。築年数が浅く、ツーバイフォー工法で建てられていれば安心して住むことができるでしょう。
間取りで騒音対策チェック
騒音についても、間取り次第で気にならないことが多いです。たとえば、自分がリラックスして眠りたい部屋と、隣の部屋のバスルームが隣り合っているという間取りだと、どうしても音が気になってしまいます。
ですから、静かな環境で暮らしたいと思う人には、自分の部屋の間取りだけでなく、隣の部屋のどの部分と隣り合っているのかを確認し、この間取りなら音が気にならないという部屋を紹介してあげることで音の問題は解決できます。角部屋なら隣室との接点が少なく、騒音も少ないです。
まとめ:木造アパートはメリットが多い!デメリットも対策次第で快適に
木造アパートは、古い、倒壊しやすいなどネガティブなイメージを持っている人も多いかもしれませんが、メリットもたくさんあります。
家賃が安めで通気性も高く、梁や柱の出っ張りが少なく部屋も使いやすいです。一方で、騒音が気になる、冷暖房の効率が悪いなどのデメリットもありますが、すべて対策が可能です。
気になる耐震性、耐火性も、築年数や工法を確認すれば、安心して住める物件はたくさんあります。木造だからと敬遠されないよう、木造アパートのメリットをしっかり伝え、良い物件をたくさん紹介していきましょう。