賃貸営業のクロージングのコツを知りたい!うまくいかない原因は?

 営業 2022.11.01

賃貸仲介の営業でなかなかクロージングがうまくいかない、あとひと押しができなくて成約に結びつかないとお悩みではありませんか?クロージングは、営業の仕事の中でも難しい、苦手だという意識を持っている方が多いと思います。

住む場所を決めるのですから、お客様も「とりあえずここでいいや」とはなりません。簡単には決めづらいものです。ただ、クロージングはたしかに簡単ではないのですが、それはコツをわかっていないだけかもしれません。

営業の仕事は人を相手にする仕事です。物を売ろうとするよりも、相手のことをよく見て、話を聞き、信頼関係を築いていこうとする姿勢が何よりも大切です。

賃貸営業でクロージング前に必ず確認しておくべきこと

物件を勧めるスタッフ

まず、話をしているお客様の状況を知る必要があります。それが「BANT」という4つのポイントです。

  • B:予算(Budget)
  • A:決裁者(Authority)
  • N:必要性(Need)
  • T:導入時期(Timeframe)

「Timeframe」というのは、直訳すると「時間枠」ですが、ここでいう「Timeframe」は入居時期などを指しています。

なぜこの4つを確認しなくてはならないのでしょうか?たとえば予算を遥かに超える物件を紹介してばかりでは、契約してくれることはまずないです。家賃の予算は最初に確認すべき事項です。

また、話をしている目の前の相手に決定権があるのか、それも重要です。最終決定する権限を持っていない場合には、その場で契約はまとまりません。後日改めてということになりますので、そのつもりで話を進めていかなくてはならないでしょう。

ですから、クロージングをする前に、この4つの条件を確認し、相手がどのような立場の人なのかを踏まえて話をする必要があります。

  • 希望する家賃
  • 最終決定する権限がある人かどうか
  • どのような部屋を必要としているのか
  • 入居時期

などを明確にしてからクロージングをしなくてはなりません。

賃貸営業でクロージングを成功させるための5つのコツ

上記で説明した4つの条件があるという前提で、クロージングのコツをご紹介しましょう。コツというと、なめらかに話すトークスキルなどをイメージしがちですが、それよりも相手にフォーカスすることが重要です。

1.相手の話を親身に聞き安心感を与える

お客様は、営業マンに不安な気持ちを抱きがちです。

  • 変な物件を紹介されたらどうしよう
  • 高い物件ばかり紹介されてゴリ押しされたらどうしよう

など、自分の希望とは違う物件や予算以上の物件を押し売りされるのではないかという不安を持っているのです。

そこで大切なのは、短い時間でお客様との信頼関係を築くことです。トップ営業マンは、総じて聞き上手です。自分が話をするよりも、親身になって相手の話を聞くのです。

自分ばかりが話してしまうと、お客様は「押し売りされる」と身構えてしまいますから、相手の話を聞くことに集中してください。

  • どんな物件を希望しているのか
  • いつ頃までに引っ越しをしたいのか

など、丁寧に話を聞きましょう。この人は自分の話をしっかり聞いてくれると思ってもらえれば、お客様のニーズをどんどん引き出せるようになります。

何を聞いたらわからないという人は、「傾聴」というスキルを身につけると良いでしょう。仕事以外でも、良い人間関係を作りたいときにとても役に立ちます。

2.クロージング前の雑談が大事!相手のニーズを引き出す会話

話を聞いて信頼関係ができた!と思って、すぐに物件をおすすめしてしまう人がいますが、それはいけません。ここでほしいのは、「雑談力」です。

なぜ雑談が大事なのか、それは一見なんでもない会話の中に、お客様の潜在的なニーズが隠されているからです。

たとえば、お客様がとてもおしゃれな雰囲気の方だったとしましょう。その方の着ているものや持っているバッグ、靴などを見て「今日来てらっしゃるセーターのお色がとても素敵ですね。」などをファッションの話をしてみます。ファッションがお好きな方なら、そこから話が弾むでしょう。

そうすれば、クローゼットの広い物件が適しているのでは?などおすすめするポイントが見えてくるはずです。

料理の話で盛り上がれば、キッチンが広めの物件が気に入ってもらえるかもしれません。雑談で相手のライフスタイルがわかると、より適した物件をおすすめすることができ、成約につながりやすくなるでしょう。

3.松竹梅の法則を使う

「松竹梅の法則」とは、3つの選択肢があったとき、人は真ん中を選ぼうとするという心理学の法則です。「ゴルディロックス効果」とも呼ばれます。たとえばランチのコースで5,000円、3,000円、1,000円とあったら、3,000円を選ぶ人が一番多くなります。

この法則を利用すると、おすすめしたい物件を選んでくれる確率が高くなるということです。予算の範囲内で、なおかつおすすめしたい物件のほかに、高い物件、安い物件をあわせて3つ紹介するのです。

契約してほしい物件を真ん中に置いて、3つ紹介してみてください。そうすると、こちらの期待通りの選択をしてくれる確率が高くなります。

4.ドア・イン・ザ・フェイスを使う

「ドア・イン・ザ・フェイス」とは、最初に大きな要求をして、その後に本当にしてほしいことを小さな要求として伝えると、後者を選んでもらえる可能性が高くなるという、心理テクニックです。

たとえば、予算10万円のお客様に家賃10万円の物件Aをおすすめしたいときには、それよりも家賃の高い13万円の物件Bを先に紹介します。

「高いなあ」とお客様が悩んでいるところで、「ではこちらはいかがでしょうか」と物件Aを紹介するのです。そうすると価格が下がったような錯覚を起こして、物件Aに決めやすくなるということです。

最初から本命だけをおすすめするのではなく、高い物件を先に紹介しておくことで、お得感を感じてもらいやすくなるという方法です。

最初に提示する物件は、予算を少し超えている範囲くらいが適しています。あまり高すぎる物件を提示すると「予算はこのくらいと話したはずなのに」と逆に不快感を与えてしまいますので、気をつけましょう。

5.迷っている時にはそっと背中を押してあげる

お客様は、家賃や駅からの距離、間取りなどさまざまな希望を持っていらっしゃいますが、全てを叶える物件はありません。

賃貸物件は出会いですから、理想に近いものが見つかったらすぐにでも契約をしないと埋まってしまいます。全てはタイミング。迷っているお客様には、そのことを説明して、そっと背中を押してあげましょう。

「この物件はなかなか空きが出ないんです。たまたま、地方の実家に帰る事情のある方がいて、ようやく空きが出ました。人気の物件なので、すぐに埋まってしまうと思います。」など、物件の魅力をアピールしてみてください。

お客様は、数ある物件の中で本当にそれにして良いのか、もっとほかにあるのではないかと迷っていますから、「今決めるべき理由」を提示してあげれば良いのです。

これはNG!クロージングで失敗しないための注意点

契約してもらいたい!という気持ちが強すぎると、話し方も前のめりになってしまい、お客様に引かれてしまいます。真摯に対応しようという気持ちを忘れないでください。

相手が考えている時に話しかけない

こちらは営業職ですから、人と話すのは慣れていますが、お客様はそうではありません。話すスピードも人それぞれですし、賃貸の契約に関する話をしているのですから、そう簡単に「これに決めました」とはなりません。

忙しく、時間もない中で、どの物件を見てみようかと考えているときに、こちらがあれこれと話しかけてしまうと相手の考える時間を奪ってしまいます。

沈黙が続くとつい話しかけたくなってしまいますが、そこはグッと我慢です。相手の様子をよく見て、話しかけても良さそうだなというタイミングになったら、何で迷っているのかなどを聞いてみましょう。

メリットしか伝えないのはNG

どの物件にも、メリットとデメリットがあります。メリットだらけの物件はありません。ですから、デメリットもきちんと伝えます。それが信頼関係を築く方法です。

たとえば、築年数が古いことや駅から遠いことはデメリットですが、その分家賃が安くなることがあります。

デメリットを伝えてからメリットを伝えれば、良い印象を持ってもらうことはできますから、デメリットも話し方次第でメリットに変えていけます。

ゴリ押ししない、焦らない

焦って、「この物件でどうですか?」などとゴリ押ししないよう、気をつけましょう。まだその気になっていないのに契約をせかされると、その時点で気持ちが冷めてしまいます。

お客様から「この物件にします」という言葉を引き出せるように、こちら側は気持ちに余裕を持っておくことが必要です。とにかくせかさない、じっくり話を聞くということを心がけてください。

クロージングは人間が相手!テクニックに頼りすぎないで

営業マンの後ろ姿

心理テクニックや話し方のコツを押さえておくことはとても重要です。しかし、相手は人ですから、こちらの思った通りの反応をすると限りません。

心理テクニックは、「そういう傾向がある」というだけで、必ずしも相手がそのように動くというものではないのです。

同じような物件、同じような不動産会社はたくさんあるわけで、その中から「この人にお願いしよう」と思ってもらえるかどうかは、最終的には営業担当の人間性にかかっています。

  • 身だしなみ
  • 話し方
  • 態度

など、お客様はシビアに見ています。賃貸の契約は簡単に決められるものではないので、より信頼できる人に頼みたいと、お客様は思っているのです。

その信頼に応えられるかどうか、真摯な姿勢で対応することが、テクニックよりも大事だということを忘れないようにしてください。

まとめ:賃貸営業のクロージングは相手との信頼関係が何より大事!

早く契約を決めてもらいたい、成約率を上げたいと営業成績ばかり気にしていると、気持ちが焦ってうまくいきません。

相手に考える時間を与えずに話しかけてしまったり、焦ってゴリ押しすることが、クロージング失敗の原因です。

まずは相手の話をじっくりと聞き、信頼関係を築くことが大切です。雑談の中からも、潜在ニーズを引き出すことができますから、相手の話をよく聞きましょう。

そのうえで、話し方の心理テクニックなどを使うと、成約率がぐんと高まるでしょう。