マンションとアパートの違いは?それぞれのメリットとデメリット
物件をおすすめする時に、マンションがいいのか、それともアパートがいいのか、迷うことがあると思います。しかし、そもそもマンションとアパートの明確な違いを説明できるでしょうか?
マンションとアパートの定義ですが、建築法上の区分けはありません。では、お客様にどのように説明すれば良いのか、一般的に使われている指標を元に解説します。
しかし明確な区分けがないのであれば、時には名称にこだわらないことも必要です。お一人お一人に最適な物件をご提案するために、物件選びの基本を忘れないようにしたいものです。
目次
マンションとアパートの違いは特にない
マンションとアパートは、建築法上の違いもないですし、構造による明確な定義なども実はないのです。当然、登記簿謄本にも、マンションやアパートという記載はありません。つまり、マンションとアパートは、呼び名に過ぎないということです。
ですから、同じ物件でも、Aというポータルサイトでは「マンション」、Bというポータルサイトでは「アパート」として出されている、というケースも見られます。
どちらも「集合住宅」という意味
アパートという言葉が使われ出したのは大正時代です。江戸時代までは木造平屋建ての「長屋」が庶民の住む場所でした。明治に入ると2階建ての集合住宅も登場し、大正時代に入ると鉄筋コンクリート造の集合住宅が登場します。
大正14年にはお茶の水文化アパートメントが、その2年後には同潤会代官山アパートメントが建てられました。この頃は、英語の「apartment」をそのまま集合住宅という意味で使っていました。
その後、さらに頑丈な作りの建物が建てられるようになり、それまでの「アパート」と差別化するために豪邸、大邸宅を意味する「mansion」が使われるようになりました。
ですので、どちらも集合住宅という意味で使われていたのですが、より頑丈な作りの建物をマンションと呼んでいたようです。
いろいろある建物の呼び方
建物の呼び方に明確な定義もありませんから、昨今ではマンションやアパート以外の名称も増えてきています。
- ハイツ:heights。高台、丘という意味
- メゾン:maison。フランス語で家という意味
- ハイム:heim。ドイツ語で家という意味
- カーサ:casa。イタリア語で家という意味
- コーポ:cooperative houseからきた和製英語
- レジデンス:residence。邸宅、住宅という意味
これらの言葉に、特に意味や明確な区分けはなく、語感の良さやイメージで使われていることが多いです。ですから、「何が違うのですか?」と聞かれたら、特に違いはないと明言しても大丈夫です。
マンションとアパートを分ける指標について
明確な区分けがないとはいっても、一般の人が聞いて持つイメージは大事です。たとえばマンションといえばある程度頑丈な作りの建物、豪華なイメージがありますので、実際に見に行ってみたら木造2階建だった、というのではガッカリされてしまうでしょう。
ですので、法的な定義ではなく、業界でもまだ統一されていない部分もあるものの、一応ベースとなる基準はあります。
建物の構造による分類
集合住宅は、木造ならアパート、それ以外の鉄筋コンクリートや鉄骨造などはマンションと呼ばれる傾向にあります。ただし鉄骨作りの場合は、規模によってアパートと呼ばれていることもあるので、戸数や建物イメージによっても変わります。
階数による違い
おもに2階建てまでの建物がアパート、3階建て以上もしくはエレベーターがついているとマンションと呼ばれることが多いです。
見た目のイメージ
木造2階建てでも、アパートというと人気が出ないこともあり、ハイツやコーポ、カーサを使用している物件もあります。
安く住めるのがアパートのメリット
一般的にアパートは木造建築が多いです。木造建築だからこそのメリットもあるということを理解してもらうと、アパート=質が良くないというイメージを払拭できるでしょう。
家賃を抑えたいならアパート
マンションよりもアパートの方が戸数も少なく、鉄筋コンクリートよりも木造の方が建築費用が安く済むため、同じ広さの部屋や立地条件で比較すると、マンションよりもアパートの方が家賃は安いです。
家賃が安ければ、敷金・礼金などの初期費用も抑えられるでしょう。管理人が常駐していることもないでしょうから、管理費も抑えられる可能性があります。
通気性が良いのはアパート
木造は通気性が良いというメリットがあります。鉄筋コンクリートは密閉性が高く、カビや結露が発生しやすいですが、木造は通気性に優れているので、湿度に合わせて水分の調節ができます。
適度な湿度を保てることから、暮らしやすいのが木造建築の良いところです。
やっぱり丈夫な建物がいい!マンションのメリット
マンションのメリットは、やはりその丈夫さにあります。耐震性などを考えるとマンションの方が頑丈で安心です。耐震性を何よりも重視したいというお客様には、マンションの方がおすすめです。
防犯性が高い物件が良いならマンション
マンションならオートロックや常駐している管理人など、防犯面で安心ができます。3階以上の物件ならベランダから侵入されにくいというメリットもあります。
耐震性や強度を重視するならマンション
耐震性についてもやはり鉄筋コンクリート造の方が木造よりも強いです。木造であっても耐震基準を守って建築されていればたいていの地震には耐えられますが、強度の面から見るとやはりアパートよりもマンションの方が優れています。
設備の豪華さ
マンションという名前の意味通り、マンションの方が外観やエントランスホールが豪華な場合が多いです。見た目の豪華さはマンションに軍配が上がるでしょう。
また、駐輪場や駐車場、共有のゴミ置き場が24時間利用可能など、アパートに比べると設備が充実しています。
内装の充実度
賃貸マンションでも分譲マンション並みに設備が充実してきています。
- 浴室乾燥機
- IHクッキングヒーター
- お風呂の追い焚き機能
- 大きなシューズボックス
- ウォークインクローゼット
など、人気の設備が整っているものもあり、アパートよりも豪華です。
防音性にも優れている
木造ですと、壁の薄さによっては隣の部屋の生活音が丸聞こえということも少なくありません。一方、鉄筋コンクリート造のマンションなら隣の部屋の音が聞こえるということは少ないので、防音性を重視したい人にはマンションの方が向いています。
ただし、骨組みが鉄筋でも、仕切りがコンクリートではなく石膏ボードなどを使っているマンションでは、防音性がそれほど高くない場合があります。どのような材質が使われているのか、チェックすることが重要です。
マンションかアパートか、名称にこだわらないことも大事
マンションとアパートは、明確な区分けのないものですし、アパートだからといって低品質な物件というわけでもありません。防犯対策にも力を入れ、防音性も高くなってきています。名称だけにこだわってしまうと、選択肢を狭めてしまうかもしれません。
物件に求める条件の優先順位をつけてもらうこと
大事なのはマンションかアパートかという表面上の名称ではなく、お客様がどんな家に住みたいのかです。ですから、物件選びで何を重視したいのか、求める条件に優先順位をつけてもらうことが大切です。
- 駅から近いこと
- 収納が多いこと
- トイレとお風呂が別々であること
- オートロックがついていること
など、お客様が大事にしたい条件をまずは洗い出し、その中で優先順位をつけてください。
名称にこだわるのではなく、条件重視で物件探しをすれば、きっと理想の物件を見つけてご提案することができます。
大事なのは実際に物件を見てもらうこと
マンションに豪華な建物のイメージを持っていると、それが裏切られることもありますし、逆にアパートにはあまり期待していなかったけれど意外としっかりしている物件だった、ということもあります。
いずれにしても、名称にとらわれずに実際の物件を実物を見て確かめてもらうことが重要です。オンライン内見なども積極的に導入し、その物件の良さをご紹介できるようにしておきましょう。
まとめ:マンションとアパート、名前の違いにこだわらずに物件をよく見てもらう
マンションとアパートは、法令上、明確な区分けがあるわけではなく、どのような名称をつけるのも自由です。一般的な概念としては、木造建築で2階までの建物がアパート、鉄筋コンクリート造で3階以上ある建物がマンションと呼ばれることが多いですが、あくまでもイメージによるものです。
マンションのように見えてアパートと名乗っている物件もあれば、その逆もあります。大切なのはあまり名称にこだわらずに、お客様がどんな家に住みたいのか、その理想の条件を明確にすることです。
名称にあまりとらわれることなく、実際に物件を見てもらうことで、希望の条件にあった物件をご紹介できるでしょう。