賃貸の防音性と構造の関係。騒音トラブルを回避するには？

賃貸の防音構造がどうなっているか、物件を探すときに真っ先に気にする人は少ないと思います。しかし、隣人トラブルで最も多いのは騒音トラブルだといわれています。

こちらの音が迷惑となってしまったり、隣や上下の部屋の音が気になって生活に支障をきたしたり、どちらもクレームの原因になりますので、できれば防音性の高い物件を選んでおくと安心です。

どうして音が伝わるの？音には2種類ある

集合住宅でお隣の部屋、または上下の部屋に伝わる音には2種類あります。

• 空気伝播音：テレビの音、話し声、楽器の音など空気により伝わる音。隙間を通して伝わる。
• 固体伝播音：足音、家具を動かす音など床や壁を通して伝わる音。

騒音対策を考えるなら、この2つの音を防がないといけません。

種類別・賃貸物件の防音構造の違い

まず、建物の構造の違いによる防音性についての基本を説明します。一般的にアパートは防音性が低く、作りが頑丈なマンションほど防音性は高くなります。

木造アパートは音が漏れやすい

木造アパートの防音性はそれほど高くはありません。壁が薄いと隣の部屋の生活音がダイレクトに聞こえることもあります。木造建築には音を遮断するものがないため、テレビの音や話し声など空気音が伝わりやすいのが特徴です。

そのため、夜間や休日は大きな音が伝わらないよう、隣人への配慮が必要です。

鉄骨造（S造）も防音性はそれほど高くない

建物の主要な構造に鉄骨を使用しているのが鉄骨造です。木造建築よりは丈夫な造りになりますが、防音性がそれほど高いわけではありません。うるさくすればお隣に迷惑をかけてしまいます。

空気音だけでなく、歩く足音や洗濯機の振動など固体音も伝わりやすいです。

鉄筋コンクリート造（RC造）は防音性が高い

鉄筋コンクリートになると防音性はぐっと高くなります。壁や床にコンクリートが使用されてるため木造建築よりも壁が厚く、テレビの音や話し声などはまず聞こえないでしょう。

ただし、生活音すべてが聞こえないわけではありません。子供が走り回る音や赤ちゃんの鳴き声などは聞こえてしまいます。

鉄骨鉄筋コンクリート造（SRC造）は最も防音性が高い

建物の中で最も防音性が高いのは、鉄骨鉄筋コンクリート造です。防音性だけでなく、耐震性や耐火性にも優れています。

主要な構造に鉄骨を使用し、さらに鉄の棒の骨組みで強化したところにコンクリートを流し込んでいるので、鉄骨造と鉄筋コンクリート造の特徴を兼ね備えた工法となっています。

隣はもちろん、上下の部屋の生活音はほとんど気にならないでしょう。テレビの音や話し声が聞こえる心配はほぼなく、子供が走り回る音もあまり聞こえないはずです。

また、防音ガラスを使用したお部屋ですと、外の騒音もほとんど気にならないでしょう。その分賃料は高めになりますが、防音性を追求したい人には鉄骨鉄筋コンクリート造が最も適しています。

鉄筋コンクリートなら防音性が高いとは限らない

鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造なら防音性は心配ないとお話ししましたが、壁の厚さや材質によっては十分な防音性を得られていない物件も存在します。

全ての壁にコンクリートを使用せず、石膏ボード木材を使用している物件もあり、話し声などは聞こえにくくとも、歩く音や家具を移動させる音など固体音が伝わってしまうこともあります。

防音性の高い賃貸物件を選ぶ6つのコツ

では、建物の構造にかかわらず防音性の高い部屋を選ぶコツなはいのでしょうか？内見のときに、以下のポイントに注意しながら物件を見ていただくと良いでしょう。

1.1階の角部屋がおすすめ

部屋の場所ですが、賃貸物件で騒音が最も気にならないのは1階の角部屋です。角部屋なら隣の部屋の数が少ないことからお隣の部屋の音は気になりにくいでしょう。また1階なら、下のお部屋に迷惑をかける心配がありません。

ただし、エレベーターや階段の近くですと人の行き来が気になることもありますので、位置選びも重要です。

2.隣の部屋との境が居室になっていないこと

木造アパートでも、間取り次第で音が気にならないことがあります。たとえば隣の部屋と接している部分に収納があるとかお風呂やトイレがあれば、普段の生活音は気になりにくいです。

3.内見の時に部屋の中で手を叩く

部屋の防音性を確かめるには、内見のときに何もない部屋の中で手を叩いてみることをおすすめします。もし手を叩いても音が響かない場合、音が壁を伝って隣の部屋に抜けている可能性があります。

4.窓ガラスの機能をチェック

外の音が気になる人は、窓ガラスもチェックしてみてください。防音ガラスになっているか、もしくは二重窓になっていれば防音性は高いです。

窓ガラスを交換したい場合、自費でできることもありますが、賃貸ですので当然管理会社や大家さんに確認が必要です。

賃貸マンションでもつけられる、傷をつけない内窓もありますので、どうしても防音性を高めたい場合には検討してみてください。

5.周辺環境をチェック

周囲の騒音チェックも重要です。学校や幼稚園、保育園などがあると平日は子供の声が気になるかもしれません。大きな道路が近くにあると車の騒音が聞こえることもあります。

時間帯や曜日によっても騒音は変わりますので、何度か違う時間帯で内見をしてみることをおすすめします。

6.周辺で騒音トラブルがないか聞く

不動産屋や管理会社に、その物件で騒音トラブルが起きていないかも聞いてみましょう。トラブルの内容によっては引っ越さない方が良いという選択肢もありますので、よく話を聞いてみてください。

賃貸物件の防音性が低い場合の対処法

引っ越してから音が気になることもあると思います。そのような時は、以下の対策を試してみましょう。

防音カーペットを敷く

階下への音が気になる時はカーペットで対処します。防音カーペットか、厚手のカーペットを敷いて音を防ぎましょう。子供がいるおうちでは、カーペットですと汚した時の手入れが面倒なので、クッション性のあるジョイントマットなどがおすすめです。

防音カーテン、厚めのカーテン

窓ガラスを交換できない時は、カーテンを変えるだけでも防音性が高まります。防音カーテンまたは厚手のカーテンにすれば、音漏れを多少なりとも防ぐことができるでしょう。

家具の位置を工夫する

隣の部屋の音が気になる時は、こちらの音も隣に伝わってしまうということです。そんなときは、隣の部屋と接している壁に本棚などの大型家具を置いて音を防ぎましょう。

ヘッドフォンを利用する

最近はZoomなどオンライン会議ツールを利用して打ち合わせをしたり、飲み会をしたりすることが増えてきました。オンラインで話しているとつい大声になってしまうこともあり、時間帯によっては周囲に迷惑になってしまいます。

適切な音で使用するともに、ヘッドフォンやマイクを利用することで、大声を防ぐことができるでしょう。

まとめ：防音性の高い物件は鉄筋

賃貸物件のうち、防音性を重視すなら木造アパートよりも鉄筋コンクリート造のマンションを選ぶことをおすすめします。

ただし、鉄筋コンクリートなら音が気にならないかというとそうでもありません。壁がコンクリートではないこともあるので、内見のときに部屋の中で手を叩いて響くかどうか確認してみましょう。

入居後に音が気になった場合には、カーペットを敷いたり、隣の部屋との間に棚を置くなどの対策をとればある程度の音は防げます。