インサイドセールスを不動産で導入するメリットと成約率アップのコツ
インサイドセールスとはフィールドセールスに対する言葉で、直接会わずにメール等を介して行う内勤型の営業手法のことをいいます。
ただ闇雲にアプローチをするのではなく、顧客の温度差を確かめつつ、より見込みの高い顧客との関係性を築いていくことを目的としています。
今回は、インサイドセールスについて詳しく解説するとともに、この手法を不動産業界で取り入れることにどのようなメリットがあるのか、成約率アップのための取り入れ方などについてお話しします。
目次
インサイドセールスとは内勤型の営業スタイル
インサイドセールスとは、従来のように直接相手に会って話をするのではなく、メールや電話、オンライン会議ツールなどを利用して行う非対面式の営業スタイルのことです。
アメリカではすでに定着している営業の方法ですが、日本ではまだ試したことがないという営業マンも多いのではないでしょうか。
国土が広いアメリカは、直接相手を訪問していては営業活動が非効率になるため、インサイドセールスという手法が生まれたのです。
営業活動を分割する
これまでの対面営業は、反響の獲得から追客、商談、クロージングまですべて一人で行うパターンが多かったと思います。
そこにインサイドセールスを取り入れると、電話やメールで反響を獲得するところから追客までをインサイドセールスで行うため、営業担当が直接担わなくて良くなります。
テレアポとの違い
見込み客を獲得するというと、それはテレアポと同じではないか?という疑問を持つ人もいるでしょう。たしかに手法は同じですが、目的が違います。
テレアポは、とにかくたくさんの電話をかけてアポを取ることが目的です。まずは、かける数が大事なのです。
それに対してインサイドセールスは、顧客とコミュニケーションをとり信頼関係を築いていくことが目的です。
次につながる顧客を見極め、温度の高い状態で営業につなげるために長期的な視点を持って取り組む仕事です。
反響営業との違い
広告等に対して反応のあった人にセールスをする反響営業は、インサイドセールスのひとつといっていいかもしれません。ただ、アプローチの仕方に少し違いがあります。
反響営業では、お客様からの問い合わせ等に対して営業をかけていきますが、インサイドセールスではインサイドセールスの担当者がアプローチをし、顧客との関係を築いてから営業に橋渡しをします。
オンライン商談もあり
営業担当につないでからは、従来のフィールドセールスを行う場合もありますが、インサイドセールスではオンライン商談も増えつつあります。
インサイドセールスの3つのパターン
インサイドセールスには大きく分けて3つの方法があります。
1.獲得したリードに営業を行うプル型
反響型営業とも呼ばれるパターンで、資料請求やポータルサイトからの問い合わせ等に対してアプローチをします。
インサイドセールスの担当者が顧客との信頼関係を築き、それから営業担当につなぎます。
2.インサイドセールスでアポ獲得のプッシュ型
プッシュ型はアポ獲得型とも呼ばれます。反響を待つだけでなく、電話をかけたりメールを送ったりして、反響を獲得するところからインサイドセールス担当が行います。
見込みのある顧客を育てるところから担当するのが、プッシュ型のインサイドセールスです。
3.クロージングまでインサイドセールスで行う混合型
営業活動のすべてをオンライン等で行うのが、混合型です。アプローチからクロージングまで担当者が変わらず、すべてオンラインで行うことから、「クロージング型」「オンラインセールス型」などと呼ばれることもあります。
反響営業の経験が長い人は、そのままオンラインに移行することで、最初から最後まですべて非対面で完結させることも可能でしょう。
インサイドセールスを不動産に取り入れる4つのメリット
これまでの営業スタイルに慣れていると、分業することや直接顔を合わせずに商談を進めるに不安を覚える人も思います。しかしインサイドセールスにはこのようなメリットがあるのです。
1.分業により効率的な営業活動ができる
一人で営業活動をしていると、反響を得ることや見込み客かどうかの見極め、フェーズ別にリスト化するなど顧客管理の作業もしなくてはなりません。
しかしインサイドセールスを導入すれば、それらの仕事は全てインサイドセールス担当者に振ることができます。営業担当は自分の対面営業にすべて力を注げるので、本来の営業活動に集中できます。
2.成果が上がりやすい
インサイドセールスで温度の高い見込み客を絞り込んでからつないでくれるので、営業担当者はセールスに集中できるのです。
確度の高い営業ができるため、成約率もおのずと上がるでしょう。
3.コストの削減になる
これまでの営業スタイルですと、新人には顧客へのアプローチの仕方からクロージングまで一通り教えないといけなかったため、独り立ちするまでに時間がかかりました。
せっかく採用しても一人前になる前に辞めてしまう人もいて、採用コストがかかっていました。
しかしインサイドセールスは分業するというスタイルなので、担当する業務が細分化されています。その分、採用コストだけでなく仕事を教えるコストも抑えられます。
4.営業活動の属人化を防げる
スーパー営業マンがいたとしても、その人のやり方をみんなが真似できるわけではありません。ひとりすごい人がいたとしても、その人がいなくなったらおしまい、という状況は会社にとってあまり良いことではないでしょう。
その点、インサイドセールスは顧客を育てるまでが仕事で、その後営業担当に引き継ぎます。それぞれの業務を個人のスキルに頼ることなく標準化できるので、属人化を防ぎ、営業の質を底上げしていくことになります。
インサイドセールスの3つのデメリット
効率よく営業活動ができるインサイドセールスですが、このようなデメリットもあることを知っておきましょう。
1.インサイドセールスのシステムを構築する手間
これまでは、営業担当がアプローチからクロージングまでを一人で行い、自分が情報を把握できていれば良かったのですが、インサイドセールスを導入すると何人もが一人の顧客に関わることになります。
どこまで何をしているのか、インサイドセールス担当と営業担当がいつでも情報を共有できる仕組みやシステムを作らなくてはなりません。
場合によっては新しいシステムの導入なども検討しなくてはならないので、初期費用がかかることもあります。
2.慣れていないとオンラインで商談するのが難しい
顧客へのアプローチからクロージングまでを全てインサイドセールスで行おうとすると、オンライン商談の環境も整えなくてはならないです。
また、これまで対面で営業を行なってきた人は、オンライン会議ツールなどを使って話すのは、やや勝手が違ってやりづらい場合もあります。
何がなんでも対面、と考えているとなかなか切り替えができず、顧客と良いコミュニケーションの妨げとなってしまうかもしれません。
3.チームをどう構築するかが問題
インサイドセールスは、基本的に複数で担当するため、「営業チーム」という形で業務を行います。アポ獲得や追客などをどこまで誰がやるのか、適性を見ながら人を配置する必要があります。
また、チームで仕事をするのですから、どのパートが上だとか下だとかという考えはありません。
クロージングで契約を獲得する人が偉いのではなく、アポを獲得する人、顧客とやり取りする人、それぞれが自分の役割を果たしてこそ、インサイドセールスは成功するのです。
お互いに不満がたまったりしないように、風通しの良いチームをどう作るのかも、インサイドセールスの課題となります。
インサイドセールスを成功させるコツ
インサイドセールスで最も大切なことは、顧客との関係構築です。トークでは売り込んだり、説明したりするのではなく、話をよく聞き、顧客の本当のニーズを引き出すのが狙いです。
相手のニーズを理解できてこそ、その人に最もあったアプローチをすることができるからです。
そして、顧客の見込み度を的確に見極めることです。より見込み度が高い顧客を優先し、営業担当に引き継ぎます。
チーム内で情報を共有し、連携しながらその顧客にあったアプローチで成約率を高めていきましょう。
まとめ:インサイドセールスは顧客との関係構築
インサイドセールスは、これまで一人で行っていた営業を分業化し、顧客へのアプローチを専任の担当者が行います。顧客との信頼関係を築き、温度が高くなったところで営業担当に引き継ぎます。
「売る」のではなく、よく話を聞き、顧客に寄り添うことで適切なアプローチ法が見つかります。ニーズにあった提案ができるので、成約率も高くなります。
複数人で一人のお客様を担当するため、チーム内の情報共有を怠らず、うまく連携しながら契約に結びつけていきましょう。