賃貸物件案内のコツ。お客様の心をつかんで成約に導くには?

 賃貸仲介業 2022.05.09

賃貸物件案内までいったのになぜか契約まで結びつかない…。そんなお悩みはありませんか?物件案内は「売り込みされている」と思わせないように、自然に成約に導くコツがあるのです。

成約率を高めるには、物件案内をする前からの下準備が重要です。物件をより魅力的に見せる工夫、お客様の質問に素早く答えるためのリサーチなど、案内する当日からやるべきことがたくさんあります。

そこで、どうすれば売り込まずに成約を勝ち取れるのか、物件案内のコツをお伝えします。なかなか契約が取れないとお悩みの方はぜひ参考にしてください。

賃貸物件案内の大まかな流れ

お客様が来店または問い合わせをしてきてから実際の物件案内をするまで、このような流れで進みます。

案内する物件を絞る

お客様がこの物件を見たいとあらかじめ決めてきていれば良いのですが、その場で要望を聞いて物件を選ぶ場合もあります。その時に、できるだけたくさん見せた方がいいと思ってしまう担当者もいますが、それはあまり良くありません。

たくさん物件を見せてもお客様は迷ってしまうだけ。どこを比較すれば良いのかわからなくなってしまうのです。できれば3件くらいに絞って提案しましょう。その中で、お客様の要望にもっとも合致しそうなものから案内します。

下見をして案内する順序を考える

お客様を物件に案内する前の下見は重要です。下見をしっかりしているかどうかで、成約率が変わってくるからです。

物件を案内する時、お客様はその家の中を見たいだけではありません。駅からの道のりやスーパーがどこにあるか、近所に問題のある人はいないかなど、周辺環境も合わせて知りたいのです。

ですから物件情報だけでなく周辺の情報も下見をしてしっかり頭に入れておくことが大切です。その上でどの物件から案内すれば第1候補が魅力的に見えるかを考えます。

たとえば、お客様の第1条件は日当たりの良さだけれど、それ以外の条件はすべて満たしている物件があったとします。それならば、日当たりのよくない物件を先に見せておいて、最後にイチオシ物件に案内すれば日当たりの悪さは気にならず、総合的に判断してその物件が良いと決めてくれるでしょう。

トップ営業マンほど下見を重視し、物件情報の説明だけでなく、そこに至るルートの確認やお客様をお連れするまでの会話の内容まで入念にストーリーを作り込んでいるといいます。契約できるかどうかは下見の段階から決まっているといっても過言ではありません。

賃貸物件案内で申し込みにつなげるコツ

部屋を内覧中の男女

それでは実際に物件案内をすることになった時の準備や当日の行動について、契約に繋げるポイントをお話しします。

物件案内前に入念な準備を!

窓を閉め切っている物件は、においがこもっていることがあります。入った時の印象が良くないため、事前に掃除をするのは当然のこと、空気も入れ替えて爽やかな状態でお客様を迎えましょう。アロマを焚いておくのもおすすめです。

また、鏡を置いたり、部屋をできるだけ明るくして、少しでもお部屋が広く見えるように工夫することも大切です。そのお部屋がより魅力的見えるよう、入念に準備をしてお客様を迎えてください。

物件案内中にセールスをしないこと

お客様が物件を見ている間にあれこれとセールスをしてしまう人がいますが、それは逆効果です。お客様は自分で選んだ物件の最終確認に来ているわけで、ここで売り込みをされたいと思ってはいないのです。

1つだけならまだしも、複数の物件を見る場合に、それぞれの間取り、玄関、キッチン、お風呂などたくさんの場所を見て情報を詰め込んでいるのですから、そこにあれこれと説明をされると頭がごちゃごちゃになってしまうでしょう。ここで売り込みをしてはいけません。

案内の前に見るべきポイントをまとめて伝える

物件を見ながらあれこれと伝えるのはお客様を混乱させるだけなので、物件に案内する前に、見るべきポイントを伝えておきます。そうすればどこを見れば良いかがわかり、お客様も確認作業をしやすくなります。

聞かれたことに答えるくらいでちょうどいい

せっかく物件案内に来たのに何も話さなくて良いのだろうかと思うかも知れませんが、それでOKです。基本的には、こちらからしゃべる必要はありません。何か聞かれたらそれについて答えるくらいでちょうど良いのです。

お客様が疑問に思ったことにその場で的確に答えることができれば、それで十分です。

お客様のペースに合わせること

案内するときに急かさないように気をつけたいものです。おすすめポイントをあちこち見ていただきたい気持ちはありますが、お客様のペースに合わせて動きましょう。こちらが焦ると売り込み臭が出てしまいます。

ステージングでイメージが湧きやすくなる

家具が何もおいていない部屋は、実際に住んだ時のイメージが湧きにくいものです。そこで、フォトステージング(またはホームステージングともいう)を利用してみましょう。

ステージングとは家具を配置した写真を見せることで、生活をしているイメージを持ちやすくするものです。実際に家具を運び込むのは大変なので、物件の写真の上にコンピューターグラフィックで家具を配置するサービスです。

こんなコーディネートができますよ、というパターンをいくつか見せることで、そのお部屋の魅力がより伝わりやすくなるでしょう。

昼と夜、2回案内するのが理想

昼間見たときには特に問題ないと思ったけれど、夜に歩いてみたら駅から物件までの道が暗くて怖かったなど、時間帯によって気になる点が違う場合があります。お客様に時間をとってもらえるなら、昼と夜、または平日と休日など、時間帯を変えてご案内するのが理想です。

お客様の質問には即答できるように事前のリサーチが大事

マンションの外観

物件案内は、実際に案内する前の下見も大事ですし、同時に様々なリサーチが必要になります。自分が案内してもらう立場だったら、小さな疑問にも丁寧にすぐ答えてくれる担当者なら安心できるでしょう。このようなことを聞かれるだろうと想定できる質問を洗い出し、全て即答できるように準備します。

周辺環境の確認も大事

物件そのものだけでなく、周辺環境も決断の決め手になります。騒音などは気にならないか、一人で歩いても不安がないか、お客様の立場に立って確認してみてください。

住民トラブルがないことを確認

いざ住んでみたら隣人がひどい人だったなどということがあると、のちのち大きなトラブルに発展する可能性もあります。ご近所付き合いが希薄になった時代だからこそ、ちょっとしたことでもトラブルになりがちです。

アパートは両隣や上下などの部屋に特に注意が必要です。入居者の人間関係などもしっかり把握しておくことが大切です。

周辺施設のリサーチもしておこう

生活のしやすさはとても重要です。

  • スーパーやドラッグストアなど日々の買い物に便利な店がどのくらいあるか
  • 車が通りやすい道か
  • 公園など緑が多い場所があるか
  • 病院は近くにあるか

など、周辺状況の情報もしっかりと調べておきます。

お客様の決断を引き出すのがクロージング

物件案内が終わったらいよいよクロージングですが、ここでも売り込もうと必死になってはいけません。こちらから売り込むのではなくてお客様が「契約したい」と思う気持ちを引き出すのです。

もしすぐに決断できない時は、何が原因なのかを探る、それがクロージングです。具体的に、「ここがこうだったらいかがでしょうか?」と提案してみると、お客様も自分の中の隠れたニーズに気づくかもしれません。

  • 全体的には良いのだがどうしても気になる点がある
  • 悪くない物件だけれど家賃が高いと感じている

など、どこが障害になっているのかを具体的に聞き出します。漠然と迷っているよりも、気になる点を言語化することで求めている答えが見えてきます。

まとめ:賃貸物件案内のコツは事前準備にかかっている!

賃貸物件案内を成功させられるかどうかは、実際に案内する前の準備が何よりも大事です。お部屋の第一印象はとても大切なので、空気を入れ替えたり明るく、広く見せるなどの工夫が必要です。

また、案内をしている最中に売り込もうとしないよう、お客様のペースで内見していただくようにしましょう。ここであれこれと情報を与えてもお客様が混乱するだけです。聞かれたことに的確に答えられれば、それで十分です。

質問に即答できるよう、物件情報はもちろんのこと、周辺環境も入念にリサーチしておくことも忘れずに。その事前準備によって、成約率の高い物件案内ができるようになるのです。